科学の目で共産党を見ると

日本共産党の元政策委員長であった筆坂秀世氏が同党に関するさまざまな著作を発表しているが、昨年7月に発刊された『日本共産党と野党の大問題』は興味深い内容だった。そのあとがきともいえる最終部分で同氏は「日本共産党がいちばん反省しなければいけないこと」と題する小論を掲載している。一言でいえば、同党が「社会主義国への評価を何かあるごとにクルクルと変えてきた」事実を指摘している。要するに、「社会主義国の否定的な面が露わになるたびに、慌てて失態を糊塗してきただけのこと」との正確な指摘を行っている。さらに「日本共産党が社会主義国への評価を誤ってきたことへの反省など微塵もない」と手厳しい。

結論を述べるが、日本共産党は社会主義国への評価を誤ってきただけではない。それと同種のものとしての自らの評価も、同様に誤ってきたに等しい。同党は高度に資本主義の発達した国での社会主義の実験は「初めて」などと活路を見出そうと新たな理論構築に必死だが、すでに結論ははっきりしている。政党としての根本理念が誤っている団体に、未来はない――。このことこそ、本来の「科学の目」を通した原則といってよいだろう。

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