右派煽情雑誌と形容される月刊誌が登場して15年になる。その一つ、現在の『月刊Hanada』を例にとれば、最大の特徴は「憎悪」や「敵意」を煽る顕著な手法である。その標的は、現状では隣国である「韓国」「北朝鮮」「中国」であり、新聞では「朝日新聞」ということになる。これらがいかに憎むべき対象であるかとの視点で情に訴えかける手法だ。その際、厳密な真偽というものはさほど重要視されない傾向がある。いうなれば読者の情に訴えかけ、憎悪を煽り、それによって購買層を拡大・継続させることを第一目的とする商法である。このような浅薄な商法も、時流にかなえばそれなりに成功するようで、近年の安倍首相の個人的な政治志向とあいまって、それが広がってきた経緯がある。ただしこの商売、例えば隣国と平和・友好な関係になると成立しないため、できるだけ敵意を煽り、最終的には敵としていがみ合うような関係を作ることを目的とする。そのほうが読者は雑誌を手にとり、売れる(=自分たちの金儲けの役に立つ)からだ。こんな時代は過去の日本でも顕著に見られた。米英を鬼畜とみなし、憎悪を煽り、戦争を遂行した時代である。「Hanada商法」は、本質的にはそれらと何ら変わるところはない。これでもかこれでもかと、劣情や悪感情に働きかけ、商売をするのは方法論としては比較的楽なものだろう。現代日本は、安易な商売がメインストリームに出てきている時代である。