創価学会に生じた2つの分派活動

 池田名誉会長が表舞台に姿を現さなくなったのが2010年6月。その間、教団内ではふるいにかけられるように複数の分派活動が問題化し、関係者が除名されるなどしてきた。一つは波田地一味であり、波田地克利本人は2013年12月に除名され、不服申立てのため正式には翌年4月に処分された。それと先行し、波田地一味に取りすがるしかなかった田口伸明も13年5月に除名処分を受けている。
 もう一つは川崎学生部を出身とする「足軽会」で、これは任意の人材グループだった組織がカルト的な秘密結社的組織に変化することで生じた特異な集団だ。うち中核となる3人が元教団職員で、彼らは2014年6月に除名処分を受けている。
 この間、波田地本人は除名処分の無効を求めて2014年9月に民事提訴し、先月、一審で敗訴する結果となった。一方の「足軽会」の3人は、解雇無効の訴えを2012年12月に起こし、15年10月に最高裁で敗訴確定している。その上で、今年3月、彼らは新たな訴訟を教団に対して起こした。内容は、職場時代の配転命令が不当な動機でなされた、さらに違法な譴責処分は懲戒権の濫用であり無効と主張するもので、創価学会本部に対し一人あたり100万円の損害賠償を要求している(計300万円)。
 ちなみに、足軽会の3人の処分経過を表にすると、以下のようになる。

  ★A 本部指導監査委員会による指導 2008年5月
  ★B 本部人事委員会による謹慎処分 2008年7月~9年3月
  ★C 本部人事委員会による役職解任処分 2009年4月
  ★D 職員懲罰委員会による譴責処分 2011年10月
  ★E 職員懲罰委員会による懲戒解雇処分 2012年10月
  ★F 会員資格「除名」処分 2014年6月

 先ほどの話に戻せば、彼らは(E)の懲戒解雇処分について無効の訴えを過去に起こしたが(すでに敗訴確定)、その次に起こしたのは(F)の除名処分の無効を訴えるのではなく、(D)の譴責処分の無効を訴えるという一般人からすればおよそ“条件闘争”にしか見えない訴訟を新たに起こした。時系列から見る限り、彼らは(F)の除名処分については、受け入れているに等しい態度と受け取れる。
 先の波田地一味は、「信濃町の人びと」(ハンドルネーム)をはじめとする構成員を筆頭に、インターネット掲示板「宿坊」の場を利用し、自分たちの主張を発信。分派活動のための「巣」として活用してきた。一方の「足軽会」は、中心者3人が顔を出して、ブログや一般メディア、さらにこのほどは出版という形で、自分たちの正当性ばかりを主張してきた。
 この2つの分派活動は、まさに近年になって、教団組織のふるいにかけられる形で抜け落ちた象徴的なグループにほかならない。

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