空手雑感 10

空手が競技化されたことで、空手のイメージが固定化されたことはよく指摘されることだ。フルコンタクトルールの試合において、使える技の種類は「空手全体の技の10分の1」(ある著名空手家)にすぎないのに、それがあたかも空手そのものの攻防と世間では錯覚されるようになったからだ。一方で、こうした競技化によって、結果的に空手の知名度が上がり、競技人口のすそ野を広げてきたことも、また一面の事実ではある。そうして2020年の東京五輪で空手の型と組手が正式種目となることで、同じ弊害が繰り返されることへの懸念は関係者の間では共有されているようだ。

ようするに伝統空手と競技空手の理念はそもそもが水と油であり、容易に一体化されるわけはない。かといって、むやみに先鋭的な対立をあおったり、敵対視する考え方を持つのもプラスの価値を生むものとは思えない。どちらにも一長一短があるのであり、認め合い、共生するしかないというのが常識的な考え方のように思える。

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