民族差別が蔓延する国

私の乏しい知識でざっくりいえば、近現代の日本人が隣国に差別感情を抱くようになったのは日清・日露の戦勝からといわれる。日本が国家として世界の「一等国」の地位を占めるに至ったと錯覚し、そうした空気が庶民にも浸透したからだろう。その種の差別意識は昭和の戦争で壊滅的結果となった後もずっとひきずっている。差別感情は人間という生物の精神・人格の深い部分に宿る作用であるので、骨がらみだ。その克服や解決は深い宗教次元に頼るしかない。近年の日本で民族差別が横行するようになったのは別に新しい現象ではないと思われる。「嫌韓反中」などのワードもその流れにある。在日コリアンは不当な特権を日本で与えられている、などと主張し、街頭デモで「在日コリアンは日本から出ていけ」と公然と叫んだ人物が、いまも参院選に党首として参加し、政見放送にも公然と顔を出す。国によっては犯罪者として摘発され、塀の中にいなければならない人間が公然と政治活動を行っている現実は、差別が放置され、免責され、公然と生きていける日本社会の反映ともいえる。この国ではヘイトスピーチ法をつくったなどと自慢する議員もいるが、何の罰則もなく、政治は無策に近い。人種差別禁止法を制定する機運が、与党内からも出てこないのは、この国の人権レベルの反映だろう。

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