左右を斬る

昨年10月に行われた総選挙は、日本共産党が政権に参加する可能性が生じた歴史上初の選挙だった。同党の過去の罪状が表に出る機会になったのは必然的なことだった。その影響もあってか、同党の思惑とは裏腹に、議席は伸びず、同年7月の都議会選挙とは対照的に、苦杯をなめることにつながった。衆院という政権選択選挙で勝てなかった同党にとって、政権入りの可能性はぐっと減ったように見える。一方、右派側の主張は、憲法を改正し、自衛隊を軍隊として認めるように志向するなど、かつての大日本帝国時代に戻すかのような風潮が強い。中国の脅威が宣伝され、このままでは日中戦争が起きかねないかのような勢いである。昭和の戦後日本は、戦争を再び起こさないという民意のもと、日本国憲法を制定した。押しつけ憲法ともいわれるが、当時の日本人総体の意識の上に成り立った憲法であったことは間違いない。それでも当時を直接知る世代は減る一方だ。大日本帝国時代を「夢想」する彼らの基点は、常に靖国神社の中に存在する。

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