恩師の想い出

今から30年ほど前の話になるが、文章の恩師との最初の出会いは私が取材で自宅を訪問したことがきっかけだった。そのときなぜか取材目的とは別の、戦前の教育制度と戦後との違いの話になり、恩師がとうとうと持論を述べたことがあった。当時はバブル崩壊後、校内暴力などが社会問題化していた時期で、戦前はこういうことは少なかったというのが恩師の主張だった。戦前の旧制中学は5年制。やんちゃ盛りの年代は下級生か中ごろまでで、その上には今でいう高校生世代が控えていた。こうした上級生が「重石」となって下の暴走を食い止める役割を果たしていたというのが恩師の考え方だった。そのときは大した関心ももたずに聞き流していたが、いまになって戦前の教育制度を調べる機会が増え、当時、恩師の語っていた意味がようやく理解できるようになった。50をすぎてやっと理解できたというのも感心できる話ではないかもしれないが、最近では校内暴力など荒れた学校のニュースはとんと聞かない。いい意味でも悪い意味でも子どもたちの行動は変化している。

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