日本共産党は核兵器反対の立場だったといえるか 7

上田耕一郎が主張した修正主義

本日付の「しんぶん赤旗」に不破哲三前議長の1回目の連載論文が大きく掲載されている。タイトルは「『資本論』刊行150年に向けて」というもので、14回を予定しているらしい。いまだ“不破頼り”の同党の現実だが、不破哲三こと上田建二郎の実兄・上田耕一郎は、党本部勤務前の1962年、月刊誌「前衛」10月号にソ連の核実験に関連する有名な論文を発表している。タイトルは「2つの平和大会と修正主義理論」と題するもので、以来55年たって読んでみると、まったく使い物にはならない内容だ。同党が「科学的社会主義」などと名称だけは名乗ったところで、半世紀もすれば色あせてしまうような思想・哲学が「科学的」の名に値するのであろうか。

上田論文は全部で15ページ。「2つの平和大会」とは1962年に開催された第8回原水爆禁止世界大会と、モスクワで開催された「全般的軍縮と平和のための世界大会」なるもののことで、題材になっているのは、社会主義国の核実験をどのようにとらえるかという観点だ。

上田によると、「アメリカ帝国主義がますます『平和の敵』としての姿を明らかにし」、一方で「ソ連が行動の上でも政策の上でもますます『平和のとりで』としての姿を明らかにしてくる」と規定し、原水協のような東西に偏らないという「基本原則」を形式的に追求するならば、「事実上帝国主義の方向にかたよることとなるであろう」と決めつけている。

その上で、「帝国主義の軍事力だけでなく社会主義の軍事力をも平等に否定する絶対平和主義」や、社会党が唱えるような「積極中立主義」は間違った考え方であり、社会主義国の軍事力は「平和の維持のためにのみ使用されてきたのであって、社会主義の軍事政策は、安定した平和共存をめざす系統的な『平和政策』の一部」と主張してやまない。

その結果、「社会主義の防衛的軍事力は、帝国主義の侵略的軍事力に対抗するに必要なかぎり、ひきつづき発展させられなければならない」と強調。ソ連の核実験については、「極度に侵略的な戦略を完成しようとするアメリカの核実験にたいして、ソ連が防衛のための核実験をおこなうことは当然であり、世界大戦の勃発を阻止するための不可欠の措置にほかならない」と結論づけている。

この論文のタイトルとなっている「修正主義理論」とは、社会主義の軍事力がアメリカの軍事力と比較したときにすべてが平和目的であり、次元の異なるものであることを理解しない考え方のことを指しており、たとえば当時の社会党が主張したように、アメリカの核実験もソ連の核実験も同等のものとして非難するべきという考え方のことを指している。ひるがえっていま、日本共産党はすべての核はいけないと主張している。上田耕一郎の書いた論文によれば、いまの日本共産党の姿は、「修正主義」そのものということになる。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。