佐高信のモウロク度(上) 真偽不明の伝聞情報のオンパレード本

今日は門田某の言動がテーマではない。むしろ思想的には真逆の、左翼陣営の重要人物の「老いぼれ」とも映る言動についてだ。佐高信氏。社民党系列の評論家として知られるが、この人物のレベルがずいぶん落ちたなと個人的に感じたのは昨年8月、同人が平凡社新書から発刊した創共協定に関する著作がきっかけだった。ここには創価学会のこと、共産党のことが取り上げられているのだが、その内容があまりに杜撰だったからだ。教団に関する情報がどこまでが真実で、どこからは完全な虚偽という判断は普通の書き手よりはできるつもりだが、その私なりの基準からすれば、完全に虚偽という「資料」「情報」をさも真実であるかのように扱い、そのまま活字にしていたからだ。このような部分が重要な部分で多少でも混じると、その本の価値はガタ落ちする。事実、この本は社会的にほとんど注目されることもなかった。私などは、この人もずいぶんモウロクしたなという印象を持ったにすぎなかった。このようなクズ本の類は論評するだけ無駄と思ったので放置したまま現在に至る。

同じことは共産党に関する記述にもいえる。宮本顕治元議長の妻であった宮本百合子が顕治と結婚する前はある女性とレズビアンの関係にあったなど、一般読者にとってどうでもいいようなことがさも真実のように書かれていた。おそらく宮本の遺族から裁判で訴えられても、この御仁は法廷で真実性を立証することなど到底できないと想像できた。要するに自分で直接取材していない。伝聞情報(2次情報)だけで、さも真実であるかのように書き飛ばしているにすぎないからだ。まともな言論人はこのような危うい橋は渡らない。また常識ある編集者はこのような文章を通さない(活字にさせない)。平凡社はいい本もいっぱい出しているが、この新書に関してはお粗末すぎると感じた。ここでこの本をいまさらながら取り上げるのは、クズ本はクズ本の類であるとだれかが声をあげておかなければ、普通の本であると世間が認めているように受け取られかねないからである。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。