おしん

毎朝7時15分になるとNHKBSで『おしん』を観るのが日課になっていた。本日300回近い作品が最終回を迎えて終了した。1983年から1年間、NHKの朝ドラとして放映され、アジア諸国など共感を呼んだ作品として知られている。小林綾子、田中裕子、乙羽信子の3人が主人公を演じたが、他国の人々に受け入れられたのは、時代がかった女性の苦労をはねのけ、懸命に生きる姿が国を超えて共通するものだったからと感じられてならない。個人的にはこの作品が放映されたころ、私は大学に入るために上京した。当時は番組の評判は知っていても、中身を見ていたわけではない。40年近くたって初めて作品を通して観てみたことになる。おしんの亭主は佐賀県出身で、佐賀弁まるだしの場面では、なんども「ああこのとおり」と方言のリアリティーに妙に感心した。またこの作品は佐賀県のイメージを大きく損なったことでも知られる。夫の母親におしんがいびり倒され、佐賀県は「おしんをいじめた封建的な県」として認知されることになったからだ。親世代を知る者からすれば、九州の一時代前の男尊女卑の封建体質はやはり事実のものだ。それにしても一年間とおして朝ドラを続けた苦労は並大抵ではなかったと思われる。いまのように半年でコロコロと作品が変わると、過去の作品や登場人物を覚えておくだけでも一苦労だ。「昭和」を象徴する作品だったと感じられる。

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