万引き依存症が関連した東村山市議転落死事件

本日付の東京新聞に「中高年女性に目立つ万引き依存症」と題する記事が掲載されていた。お金はもっているのに病的に万引きを繰り返す中高年女性が多いことを報じる報道を見るにつけ、私は一人の女性のことを思い出す。1995年9月に死亡した東村山市議(当時)の朝木明代のことである。この女性は地元の洋服店で定価2000円に満たないTシャツを万引きし、警察の取り調べを受けていた。そうした渦中に本人はビルの上層部から転落死する。

彼女が警察の取り調べで窮地に立っていた状況をよくわかっていたはずの同僚市議・矢野穂積は、転落死の真相を隠す意図からか、教団謀殺説なる主張を繰り返し、その後民事訴訟で敗訴の山を築いた。

冒頭の記事では40・50代の女性にこの「依存症」に陥るケースが多いと指摘している。上記の朝木の犯行が発覚したのは、彼女が50歳に達する前後のことだった。当時、あるジャーナリストは、市議会議員というお金にさほど困ると思われない彼女がそんなことをすることはないと予断と偏見のみで各種紙面で主張していたが、精神心理学の知見は、こうした女性たちを「依存症」と命名するほど、普遍的な病理であることを明らかにしている。95年当時はそのような実態はまだ広くは知られていなかった。

歳月の経過は真相を浮き彫りにしていく。当事者が自らの利害で多くのウソを垂れ流して目先の自己弁明を図ったとしても、長い歳月は真実を押し上げる働きをする。この事件も、まさにそうした経過をたどっていく事件と思われてならない。

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