コラム日記 - 記事一覧
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2023/3/23 10:04
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人道立国の時代へ
100年以上前、牧口常三郎は人道的競争の時代を予見した。だが悲惨な原爆投下の歴史と、多くの無意味な戦争や大量殺戮の愚かさに気づいた人類は、21世紀に入って別の新たな方向に進むはずだったが、簡単にそうはならなかった。人間がひととして最低限度の人権を保障される社会。戦争や紛争はその対極にあり、現在の世界はそのただなかに置かれている。新冷戦時代は不可避と分析する識者も多いが、そうさせないベクトルがぜひとも必要だ。
日本はいまだ多くの点でガラパゴス的社会である。戦前の潮流を払拭できず、中途半端な改革のまま戦後に突入したことが大きい。大日本帝国時代の名残をいまも多くの制度や風習に残しているからだ。その意味で、死刑制度の廃止(あるいは死刑執行の凍結)は絶対的に必要なことである。それは生命尊厳を説く思想をもつ政党であればなおさらのことだ。
さらに時代錯誤の入管制度の抜本的改正、難民認定システムの改革も、日本が世界における人道国家のステップをのぼる上で絶対的に不可欠な改革だ。そのためには異なる民族への寛容な風潮と精神が、それらの政策と一体的なものとして社会に定着する必要がある。これを醸成できのは政党という政治的次元の行動だけでは不可能で、社会一般に広がる運動体としての動きが不可欠となる。自民族だけで国家運営が可能と考えるのは、皇国史観にいまだひきずられた時代錯誤の者たちだけだろう。多くの点で日本は「後進国」的精神性の中にあることが明らかだ。時代を切り開くのは青年の力である(青年は年齢的意味合いの区分に限らない)。
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2023/3/20 11:26
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人道に対する罪
イラク戦争開戦から20年となることで本日付で記事にした新聞が幾つかあった。この戦争はアメリカが主体となって起こしたものだが、開戦理由であったイラクの大量破壊兵器保有は現在も証明されず、開戦理由そのものが「虚偽」という状態にもかかわらず、その責任は何ら問われないままだ。日本政府も現地に自衛隊を派遣した経緯があるが、結局、虚偽理由のプロジェクトに参加したことになる。この「教訓」は、今後、集団的自衛権を行使する際、同じことを繰り返す恐れがあることを意味する。この事実はいくら強調しても足りることはない。
現在、ウクライナへの侵略行為をつづけるロシアのプーチン大統領に国際刑事裁判所によって戦争犯罪の容疑者として逮捕状が発布されたが、その意味でいえば、正当な理由をもたないままイラク領土への侵略を行ったアメリカ主体の各国も同じ責任を負うべきことは明らかだ。その意味ではジョージ・ブッシュにも逮捕状が出されてしかるべきだった。とはいえ、国際刑事裁判所の法廷がオランダのハーグに設置されたのは2003年の3月で、その9日後にイラク戦争が始まった経緯があり、最初の適用例がアメリカ大統領では治まりはつかなかっただろう。いずれにせよ、現在のウクライナ戦争を裁くなら、イラク戦争も裁かなければ不公平という主張はもっともだ。
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2023/3/17 9:28
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日本共産党のダッチロール
懸案だった日本共産党の批判本の著者のもう一人、鈴木元氏が昨日付で除名処分となった。2月に除名となった松竹伸幸氏につづき2人目である。除名の理由は「党を攻撃した」「分派活動の一端を担った」という点にあるようだが、論理的には2人は同時に処分されていなければおかしかった。そこに時期的に差が生じたのは、鈴木氏は京都共産党に同氏を信奉する人が多く、その影響を慮ったためといわれている。だが同党は3月18日に「党首選出と安保政策をめぐる攻撃にこたえる」と題する小パンフを発刊することを16日付の日刊紙赤旗で広告を載せた手前、鈴木問題が再燃するのを懸念し、先手を打って除名したというのが真相に近いと見られる。だが鈴木氏除名のタイミングは統一地方選の1カ月前を切った段階であり、「悪手」そのものだ。この行動が統一地方選に与える影響は結果次第ともいえようが、結果のいかんによっては党幹部の責任問題に発展する可能性がある。
共産、新たに党員除名 志位氏辞任要求で2人目 – 産経ニュース (sankei.com)
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2023/3/14 9:00
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再審制度の法整備を
証拠を捏造された可能性が高い袴田事件の再審開始まであと一歩のところまで来た。それにしても長すぎる。これまで日本では死刑囚の再審が認められ、無罪となって死刑台から生還したケースは4件ある。袴田氏はすでに身柄拘束を解かれているが、法的にはいまだ「死刑囚」のままだ。この問題は検察側が独占的にもつ証拠類を弁護側に適正に開示されない現行法の問題が指摘され、 再審法改正などの法整備を望む声が大きい。公明党には弁護士出身の議員が多く存在し(党幹部も同様)、この問題に率先的に取り組むべき立場にいる。だれのために、何のために「与党」の中に身を置いているかを考えれば、答えはおのずと明白だろう。庶民のため、弱者のために果敢に行動する姿勢がなければ、立党の原点を維持しているとは言い難い。
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2023/3/11 9:50
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長井裁判、4月から実質開始
「これはもう他殺ですよ」「こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが創価学会」。2022年12月19日午後、27年前の東村山市議転落死事件について、田無駅北口広場で根拠も示さずそう街頭演説した長井秀和・西東京市議が訴えられた裁判が東京地裁で行われる。2月22日に指定された第1回口頭弁論の予定はいったん取消しとなり、4月に弁論準備手続き(非公開)として開始される予定だ。被告・長井側の代理人に就いたのは日本共産党系として有名な法律事務所。長井市議は教団批判を売り物にして当選した経緯がある以上、上記のようなあやふやな主張で教団の名誉を侵害したという結果になれば、同人の公職者としての地位は不適当なものとなりかねない。単純に、嘘つきが議員でいることはふさわしくないということだ。その意味では、同人の議員生命がかかった裁判ともいえる。長井側に求められるのは、教団による他殺という長井の主張の、あくまでも「真実性」の証明である。
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2023/3/9 10:55
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現ロシアと神国日本の相似形
ロシアのウクライナ侵略を当初のころ、かつての旧日本軍の中国侵略と重ねて論評する言説をちらほら見かけたが、その感は一層強くなるばかりだ。昨日付東京新聞夕刊のモスクワ発記事で「ソ連は絶対的正義」「NATОは極悪非道」といったかつてのプロパガンダが紹介されていたが、これなど当時の日本の「神国日本は正義」「米英は鬼畜」としたプロパガンダと何ら変わるところがない。違うのは時代を80年ほどへだてていることにすぎない。もっとも旧日本軍は中国を侵略し、傍若無人の行動をとっただけでなく、朝鮮半島から10代の女性を騙して強制売春させた歴史さえもつから、朝鮮・中国に甚大な心理的被害を与えたことは明らかだ。同じ日の東京新聞夕刊で歴史家の保阪正康氏が「ロシアは、この戦争に勝っても負けても、ウクライナ国民から何世紀にもわたって、怨嗟と憎悪の目で見られるだろう」と書いているのは、かつて旧日本軍が中国や朝鮮に行った行為の影響と同一のものである。その結果、日韓両国はいまも徴用工問題で関係がぎくしゃくする。徴用工は日本軍用慰安婦の男性版ともいえるものであり、戦争の大きな傷跡だ。
現在の日本政府に必要なことは、日本の公立学校において、20世紀の戦争について「負の側面」をきちんと教えるという姿勢であろう。現在のロシアによる侵略行為は、かつての日本が行った行為を説明できるわかりやすい実例ともいえる。歴史教育は歴史的事実に基づき、それを将来の教訓として学ぶことに最大の意義がある。過去の歴史的事実を隠蔽する、あるいは歪曲する行為は、未来社会に何ら恩恵を及ぼさない。ネトウヨの「国賊」たるゆえんだ。
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2023/3/7 9:42
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東村山の構図18 歴史修正主義との同一性
東村山デマ事件を見ていると、世にいう「歴史修正主義」とその根本は同一である。一般に歴史修正主義の「修正」とは漠然とした言葉で、実際は「歴史捏造主義」といったほうが正確だろう。事実的根拠を伴う特定の歴史的事実に対して、部分的な証拠のみを用いてそれを否定したり、疑問を提示しつづける立場を指す。主に南京大虐殺に伴う旧日本軍の不法行為や、旧日本軍主導で朝鮮半島から10代の女性を就職詐欺で動員し、1日に10人以上を強制売春させた慰安婦などの実態を否定する方向で使われることが多い。これらは歴史的事実として指摘あるいは確定されているものだが、それら同じように、1995年の東村山市議転落死事件においても、大枠の事実関係はすでに「確定した」状態にあるのに、一部分のみの証拠を取り上げるなどして、延々とその結果に疑問を呈する行為がまさにそれに該当する。
ジャーナリストはあくまで事実に立脚する職業であり、あらゆる事態を想定した上で自分なりの結論をくだすが、そこに自らの政治的主張やプロパガンダを介入させることはしない。これはジャーナリストとしての「前提条件」であり、それをできない同業者はもはや「活動家」でしかないだろう。この場合は、教団叩きの心情が先走りすぎて、客観的な事実関係が見えていないように思われる乙骨某などが該当する。
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2023/3/3 9:46
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東村山の構図17 民主主義破壊の女たち
政治に公然とデマを持ち込んだのはアメリカのトランプ前大統領が最初ではない。日本の地方自治においても顕著な実例が存在し、その状況は今も延々とつづいている。例えば東村山市議の朝木直子は自分の母親が「何者かに殺害された」と主張するが、その確たる根拠が示されたことはこれまで一度もない。それどころか、これまでの多くの証拠が「他殺ではない」事実を示しており、幾多の裁判でもそのことは確定済みだ。要するに母親の死を利用して自らの政治的主張で自己利益を得ているだけのことであり、世間一般はこれらを詐欺的行為と呼ぶ。政治に詐欺を持ち込み、それをいまも継続しているという点で、東村山はその顕著なモデルケースといえる。朝木直子の会派は今回新たに女性新人1人を加えて統一地方選を戦うというが、その候補者の主張には「殺害事件の真相究明活動」に「全力で闘っていこうと決意」とあった。事件から27年たっても何らの他殺の証拠も出てこないのに、延々と「究明する」と言い続ければ成り立つ自己保身――。東村山はデマ議員に食い荒らされ続ける典型的な場所の一つといえる。
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2023/3/1 11:01
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建設的批判意見
一つの団体や組織がどの程度発展していく土壌をもっているかどうかは、建設的批判意見がどの程度受け入れられるかにかかっているように感じる。金太郎飴のようにどこを切っても同じ意見しか出ない組織は劣化し、必ず沈滞する。一方で建設的意見をどんどん取り入れる受容性をもった組織は、構成員の存在が価値化され、やりがいも生まれるというものだろう。もちろん、相手を貶めることが目的の単なる批判意見はダメだ。その意味で今の日本共産党を見ていると、自らの権力維持だけのために建設的批判意見をパージし、個人を人格攻撃している姿は、共産主義政党の一つの実態を示している。私はこんな体質ではまともに続かなくなるから、時代遅れの共産主義綱領を捨てて、普通の政党として再出発することをささやかに主張しているが、当然受け入れられることもない。どちらにせよ、言論の自由のない世界、建設的批判意見が公然とつぶされるように組織に明るい未来はない。
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2023/2/28 9:24
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長井裁判が異例の延期
西東京市議の長井秀和が選挙演説で虚偽の事実摘示をしたとして宗教法人創価学会から民事提訴されている問題で、2月22日に東京地裁で1回目の口頭弁論が指定されていたが、その後、期日取消しとなり、現段階でまだ日程が決まっていない。たいへん珍しい現象と感じる。長井本人のツイッターでは弁護士の都合というようなコメントをしていたが、なにやら長井側の代理人において事情(ゴタゴタ?)がある模様だ。
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