コラム日記 - 記事一覧
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2025/10/3 8:31
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共生社会の本質
本日付紙面で外国籍児童の数字と不就学児童の数字が発表されている。それによると、外国人児童の総数が過去最高の16万人、うち不就学が8400人余りとしている。現在、総人口の3%が外国人となっているが、この数字が上れば上がるほど上記の児童数も比例して増えることはいうまでもない。要するに当初から想定されてきた問題ではあるが、対応が十分とは言い難い状況がある。一つは外国籍児童には就学義務が課せられていないため、各自治体の自助努力によるところが大きいことだ。さらには、各児童の状況に合わせたきめ細かいケアがどの程度なされているかという本質的な課題がある。外国人教育のあり方は国の将来を大きく左右しかねない。重要なことは世界市民化教育を進めるとする揺らぐことのない基本方針の決定と対外的な表明であり、必然的に外国人児童への就学義務の付与も重要なテーマとなる。外国人の受け入れをする限り、ケアもきちんとする。教育対象の児童を抱える家庭を含む「不法滞在」は一定の年数で正規化する(アムネスティ)政策は避けられない。「不法滞在者だから出て行け」などと主張する国民が多い国は、ものの仕組みや現実を知らないか、外国人を自分と同じ人間とみなしていないか、のいずれかかその両方であろう。メリハリの効いたシステムの根幹には人道的な精神性がなければならない。それを最も有効になしうる立ち位置にいるはずの公明党が、この問題で存在感を発揮できていない現状は、この国の未来を大きく損なっている。
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2025/10/2 6:10
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哲人政治家が求められる時代
2、3日前、トランプ大統領がネタニヤフ首相と共同記者会見している映像を目にして、罪責ロンダリングという言葉が頭に浮かんだ。ジェノサイドという大きな歴史的犯罪を犯している政治家が、世界最強大国の大統領と蜜月関係をアピールすることで、国際的に攻撃・批判されにくい政治状況が生まれることを指す。このような「無秩序」とも思える状況は、やはり「人道性」という観点で原点回帰する必要を感じさせる。人間が人間であるためには、当然、「人道」という方向性でしか未来の選択肢は存在しないからだ。日本の自民党総裁選を見ていると、この面で期待できそうな候補が実は見当たらない。「哲人政治家」とは、私のイメージでは、絶対的権力を維持することもできたのに道義的にも民衆の立場的にも敢えて民主化を進めて権力を手放す結果となったゴルバチョフ大統領のような人物を指すが、自民党総裁選の5人にそのイメージの人物は存在しない。高市早苗候補は真逆の人であるし、小泉進次郎候補にはその種の「深さ」はまるで感じられない。しいていえば林芳正候補だが、現状ではそのような「哲人性」を個人的に感じたことは一度もない。それでも同候補の主張の中身を見ると、林候補の主張がもっとも理にかなっていると感じるのは私だけではないだろう。
核兵器禁止条約を批准し、死刑も廃止する。外国人とは共生するプランを立ち上げ、実現化する。日本独自の平和政策を推進し、世界のモデルとなる。私が個人的に描く哲人政治家のイメージはそのようなものだ。
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2025/10/1 0:50
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川口市議会が陥る自縄自縛
参政党副代表の吉川りな代議士が九州比例ブロックから東京1区に落下傘候補として降りてきたことは地元民も知る人ぞ知ることだが、すでに新宿区内などで盛んに街頭演説し、XなどのSNSで画像をアップしている。最近は新大久保駅で撮った画像を貼り、新宿区は外国人比率が14%と高いのに「『何も問題は起きていない』――そんなはずはありません」(=問題があるに決まっている)と投稿し、多くの良識者から批判の応酬を受けた。筆者も新宿区とは関係が深いが、現在、埼玉県川口市で起きているような住民間の軋轢はほとんど聞いたことがない。地域住民はお祭りにおいても外国籍住民を好意的に受け入れているし、川口のような“憎悪の関係”には陥っていないからだ。川口市議会では昨日、およそ共生社会を目指さないかのような意見書を採択したが、同市議会には自民党内に強烈なヘイト議員を抱え、公明党もそれらの影響を受ける構造下にある。私から見ると完全に“自縄自縛”状態だ。国政では「共生社会の構築」を訴え、地域では住民のためという名目でヘイトまがい行為(官製ヘイト)に加担する。この問題は、公明党のねじれた構造が象徴的に表れている問題と捉えている。
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2025/9/30 12:54
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ライターの3大テーマ
フリーライターには3本柱がなくてはならないとはよくいわれることだが、私の場合は現在は「日本共産党」「沖縄空手」「極右・歴史認識」といった感じでまとまっている。ただしこの3本は常に同じわけではない。たとえば私が四半世紀以上断続的に取材をつづけてきた「日本共産党」は近年勢力が急速に衰えており、ニュースバリューが落ちる一方だからだ。将来的には現在の社民党のような状態になると予測されていて、その場合、ライターとしての取材対象の柱としては機能しない状態になることが想定される。私個人は少なくとも2年後の2027年の統一地方選挙までは追いかけたいと考えているが、その先はわからない(それまでには松竹裁判、神谷裁判とも1審判決が出ているはずだ)。将来的には私の取材テーマの一つは「外国人問題」と交代する可能性がある。
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2025/9/29 6:04
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安倍政権が作った現在の外国人問題
7月の参院選に引き続き、現在行われている自民党総裁選でも外国人政策がテーマになっているためか本日付の各紙紙面にはその関連の記事が多い。朝日・毎日が社説で扱ったほか、日経がオピニオン欄で3人の識者見解を紹介する。その一人、クルド人問題を抱える埼玉県大野知事の「悪い部分だけを切り取ったり、良い部分だけを強調したりする議論は好ましくない」との発言はその通りだ。クルド人問題は明らかに「悪い部分だけを」意図的に強調したことによって増幅された人災の側面が強い。この日経記事をまとめた担当記者は総括コメントの部分で、外国人受け入れ拡大は「安倍政権下の2018年」だったことを指摘した上で、「本来は国民に丁寧に説明し、進めるべきだった」と主張。国会審議にも時間をかけない拙速なやり方が「今になって不安が噴出し」ている状況を作った旨解説する。当時は菅官房長官の主導でこれらの政策が遂行されたと記憶するが、公明党などにも適切な意見を述べる能力を欠いたことも一因といえる。本日付産経1面では、経営管理ビザの新設が日本社会に問題を及ぼしている旨をレポートするが、このビザが始まったのも2015年。安倍政権下のことだった。つまり、現在の外国人問題の原因の多くが安倍政権下でつくられたことを浮き彫りにする。過去の政権の不十分な政策決定は次の時代になって表面化する。自民党新総裁のもとで推進されるであろう新たな外国人政策は、拙速を求めず、丁寧な実態把握と、国民有権者に対する丁寧な説明のもとで行ってほしいと念願したい。
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2025/9/28 8:41
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山ほどの実績と日本の衰退
私は政治専門の記者ではないが、それでも維新の会に関する書籍は棚に5冊以上並んでいる。それらをパラパラとめくっていて、藤田文武共同代表が幹事長時代に書いた中に次のフレーズを見つけた。「細やかな実績は山ほど積み上がっていたとしても、日本全体の衰退を誰も止めることができず、この大転換期の日本の役に立ったかというと、そうでなかったと途方に暮れるのです」。特に前半部分は、公明党の姿とも重なって映ったからだ。公明党は国政与党に20年以上いて、政策で現状を変えられるべき立場にあった分野として「少子化問題の克服」 や「共生社会」の構築に貢献できるはずだったが、それができていない現状が容易に思い浮かぶからだ。同党が大きな支持を得られない原因は、「細やかな実績を山ほど積み上がったとしても」、本質的な「日本全体」の課題において確たる実績を残していないことにあると私は考える。街中にあふれる同党のポスターも数字の羅列が多く、これだけ削減しましたとか、これだけ有権者の負担を減らしましたというもので溢れている。言葉を変えれば、お金の問題で有権者はなびくという態度であり、こうしたポスターを目にするたびに有権者をバカにしているなあと感じるのは私だけではないだろう。国民有権者が本質的に求めているのは、未来への希望であり、その点を安心させてくれる骨太の政策と、連動する温かくて力強い言葉であろうと確信している。
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2025/9/27 7:39
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発心して40年
40年前の今日、私は勤行を始めた。その半年前に入会手続きをとっていたが、すぐに信仰の世界に馴染んだわけではない。入会はむしろその場の強制といった感じで、「では1年間だけやってみます」と述べて前向きに解放されたものの、入会後すぐに信仰する気にはなれなかった。大学に近いアパートの6畳部屋の片隅に、カラーボックスの上に鎮座するお厨子を見てうらめしく思ったこともある。だがなぜか拝んでみようという気になったのはその前の月、初めて海外旅行として中国を旅したことが関係したと思う。南の香港から深圳経由で中国入りし、北京まで北上、最後にまた香港から出て帰国する2週間ほどの旅だったが、学生時代の気ままさと、大陸の雄大さに感化され、心境が変化したと思われる。初めて日蓮仏法の本尊と真摯に向き合う気持ちになった。以来40年。半信半疑の「1年間だけ試してみます」は、生命における不動の確信と定着して久しい。9月27日はアパートの部屋の光景とともに刻まれた。中国の大地が触発の“母胎”となった。
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2025/9/26 8:56
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建設的批判の重要性
どの政党も似たようなものだろうが根強いファンや支持者に支えられている。一方で政治は公的なセクターであり、建設的な批判意見があって初めて気づきが生まれ、改革や改善へとつながっていく。S N Sでよく見かけるのもこのスタンスによる衝突だ。政党を向上させるには健全な批判的意見はむしろ栄養分であり、むしろ不可欠のものといえる。仮に公明党が現状のままでいいというスタンスであれば、批判は要らない。だがこの党はいまだ過程に過ぎない。完成していないのだ。完成していれば、とっくに日本社会の多数が支持していることだろう。一世を風靡する。党創設者の言葉を借りれば、そのような力ある政治家が出てくることがまずは肝要であり、今はその前段階に過ぎない。自分を権力者と勘違いする政治家はこれからも必然的に出てくる。それを監視し、指摘する人は善知識であり、必要不可欠な存在といえる。
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2025/9/25 5:46
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金のかからない政治
自民党が企業団体献金の廃止などの抜本的改革に踏み切れない原因は、現状維持が既得権益と結びついているからだ。自民党国会議員事務所で金がかかる原因は、「次の選挙」を視野に公費で賄えない地元秘書の給与や事務所の維持などに一定の固定費がかかるからだ。野党よりも優位性を保つにはマンパワーと活動量を常に上回らせていないと不安でしょうがない。だから企業団体献金の9割は与党である自民党議員のものであり、自民党の問題にほかならない。今回の自民党総裁選でこのまま順当にいけば総裁になりそうな小泉候補もこの問題には改革意欲は「ゼロ」で、その意味では若いながら、既得権益にどっぷりとつかった政治家といってよい。自民党が自己改革を実現できないとなれば、あとは政権交代しか有権者の選択肢はなくなる。その意味でこの政策は自民党が自己変革できるかどうかのメルクマールであり、公明党は自民党に忖度する必要は本来まったくない。同党は個人献金主体に移行しても団体分を個人に分散すれば抜け穴が生じるなどと主張して自民党を擁護するが、このような姿勢が国民には見透かされてしまう。「金のかからない政治」。フェアプレイの精神で、同じ条件で野党と対峙する姿勢をもてずにどうするのか。競うべきは政策の価値であり、固定化された権益ではなかろう。
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2025/9/24 7:14
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犯罪者政治家の横暴
日本人女性が所長を務める国際刑事裁判所(ICC)が危機に瀕している。イスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状を出していることを逆恨みするトランプ大統領が同裁判所の特定の裁判官や検察官に行ってきた個人的制裁に加え、いよいよ裁判所本体への制裁を発動すると報じられているからだ。すでにこの事態に備え、職員には年内分の給与を「前払い」したほか、こんごは「米企業に頼らないで済む金融サービスやソフトウエアの代替手段を検討している」(産経)という。いずれにしても「業務継続に大きな打撃が及ぶ恐れがある」(産経)、「ICCの捜査や公判が活動停止に追い込まれる可能性が高い」(東京)と見られており、日本政府の適切な対応が必要だ。もともとトランプ大統領は連邦議事堂襲撃殺人事件などで訴追され、塀の向こう側に落ちる予定であったが、ずる賢い性格を使ってうまく逃れ、奇跡的に2度目の大統領に就任した経緯がある。法の支配よりも人の支配へ。この流れに日本側がどのように歯止めをかけるのか、日本政府・与党サイドの対応が厳しく問われる事態だ。
https://www.sankei.com/article/20250923-CQFFTO4UKNO4RDGAWPHXMVYT4Y/
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