コラム日記 - 記事一覧
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2025/5/1 10:17
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日本会議に間接支配される自民党
昨日、立憲民主党が選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を国会に単独提出した。本日付朝日新聞は1面で「今国会での成立 困難な情勢」と早くも報じている。“推進派”の朝日がこのように書く意味は大きい。公明党はもともと自民党を説得するという正攻法にこだわり、この問題で政界再編につながるような事態を望んでいない。本日付朝日記事でも公明幹部の「選択的夫婦別姓の問題で自民とたもとを分かつことはない」とのコメントが掲載されている。自公がこのような姿勢である限り、現実的に成立は難しいと見られる。2年前のLGBT理解増進法成立の際は、岸田首相の号令のもと自民党が保守派議員も含めて要所でまとまり、党全体として推進できた経緯がある。その点が今回とは対照的だ。それでも2年前の法案は与野党賛成の形式をとるため野党の要求を多く取り入れた結果、かなり中途半端な内容に修正され、推進派・反対派の双方から批判される法律となってしまった。そのような経過でできたため、教育現場などでの理解増進も現実には進んでいない側面があるようだ。ともあれ、LGBT理解増進法はそれでも「成立」にこぎつけただけマシだった。今回はゴリ押しすればするほど自民党が混乱する性格をはらむため、参院選前の成立可能性ははなはだ少ない。問題はむしろ選挙後の仕切り直しをどう見据えるかだ。焦点は自公で過半数を維持できるかどうかにかかる。本日付の朝日新聞で政治部長が、参院選後の「新しい連立」として4パターンを実現可能性の高い順から指摘していた。1番目は国民民主か維新を加える「与党拡大型」、2番目は他党党首を首相に据える「自社さ政権型」、3番目が細川内閣のような「非自民大同団結型」、4番目が自民党と野党第一党が組む「幻の大連立型」という具合だ。もちろん、今の少数与党のまま継続するという選択肢も残るが、その場合、参院での自公過半数「維持」が前提となる。いずれにせよ、選択的夫婦別姓問題は、秋の臨時国会で仕切り直しになる可能性が濃厚だ。
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2025/4/30 8:43
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米国抜きの社会構築は可能か
トランプ政権が100日すぎて今日付の朝刊はどの新聞も分析や論評で埋まっている。日経は1面トップでトランプ政権が政府の公開情報のウェブページを大量に削除し、その中には連邦議会議事堂襲撃事件で恩赦になった1500人の名前なども削除されたことを明らかにしている。情報公開の「先進国」であるはずのアメリカで、このような事態が進んでいるとは驚くべきことだ。死亡者も出た重大事件の罪が政治指導者の一存ですべて許され、しかも事件そのものがなかったかのように扱われる。多くの新聞が「国際秩序」と「民主主義」の崩壊を述べているのはまさにその通りだ。一言でいえば“公正さを欠く社会”の現出ともいえる。本日付日経は「戦後80年の秩序の徹底した破壊」とトランプ100日の成果を形容する。さらに他国に無法図な関税をかける行為は、将来「米国が二度と貿易を支配できなくなる確率を急速に高めている」と指摘するのも本日付日経掲載のフィナンシャルタイムズの記事だ。まさに米国一強の崩壊を招く同国大統領の選出は、民主主義というシステムがこれほど危ういものであったことを世界に知らしめる効果を発揮している。同時にでは他の周辺国がどう対処すべきかという命題を必然的に突きつけた。冒頭の都合の悪い情報を隠蔽するトランプ政権の行動は日本におけるかつての安倍政権のもろもろの出来事を思い出させる。安倍元首相はすでにこの世にいないが、トランプ氏はわずかな運命の差で生き残り、再び権力の座に就いた。「法の支配」と「民主主義」。米国抜きでも回っていくシステム構築に動き出す好機ととらえるしかない。
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2025/4/29 9:45
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国際秩序が崩壊する時代に
公明党「平和創出ビジョン」策定委員会(谷合正明委員長)が4月14日に開催したオンライン講演会で中満泉国連事務次長は4月下旬に世界の軍事支出の統計が発表される予定であることを告げ、「おそらく2・6兆ドルに達する」との予測を述べていた。本日付各紙報道によれば、すでに「2・7兆ドル」(390兆円)に達していることが明らかになった。これは冷戦崩壊以降の35年間で最高額の金額であり、「伸び率も過去最大」(産経)となった。特に2022年のロシアのウクライナ侵略から「拍車がかかった」(日経)経緯がある。本日付日経コラム大機小機では「米国第一と戦後国際秩序の崩壊」の見出しがあるが、現時点が世界秩序の崩壊と再構築の真っ只中にあることは明らかだ。日本は唯一の戦争被爆国であり、非軍事の平和憲法をもつ珍しい国家だ。日本独自の立ち位置から、世界の軍拡のうねりを転換(反転)する戦略と行動が求められる。そのために公明党は最大限に力を発揮すべき時であり、「昨年10月の衆院選後、国会で特筆した成果もなく」(本日付産経政治部長コラム)などと論評される石破茂政権の、確たる方向性があるものと信じる。
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2025/4/28 8:50
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トランプ政権の100日
アメリカ政治で重要な節目とされる「最初の100日」を区切りに本日付日経がオピニオン面コラムで“第2次トランプ政権の100日”を検証した。それによると、「スタートダッシュは8年前の第1期をはるかに超越した」。要するに準備万端でスタートしたということに尽きる。だがその「破壊」レベルは第1次政権よりもはるかに大きく、自由貿易の体制は「すでに瀕死の状態になった」と指摘する。重要なことは、このままインフレの解決ができなくても、トランプ政権が「文化戦争」に向けた戦術をとっているため、「支持率が確保されるシナリオは十分にありうる」との識者コメントを引いていることだ。その意味では「3選」すら想定しておく必要が生じるかもしれない。さて日本の対処法だが、執筆者(論説委員長)は、石破政権の政策を暗に批判する。つまり、どの企業も破綻させないとか、物価高対策の名目で給付金や減税のばらまきをおこなうことは「中長期的な日本の力をそぐことになりかねない」と反対姿勢を鮮明にする。要するに、ダメな会社がこの機会に淘汰されるのを国費で救済する必要はない、との視点だ。それはそれで一理あると感じた。
トランプ禍100日の作戦図 首相は変革へ大局観を – 日本経済新聞
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2025/4/27 8:42
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3代目の真贋
ある懇親の席で著名な学識者が「共産党は3代目が潰した」と発言するのをたまたま耳にした。日本共産党の指導者は確かに歴代存在し、戦後は徳田球一から始まっているが、徳田の場合は「書記長」という肩書で最高指導者を称したため、「委員長」制を引いてからはその枠に入っていない。初代委員長は宮本顕治、2代不破哲三、3代志位和夫、4代田村智子という流れになる。これと対照的なのは、政党ではないが創価学会の会長に対する認識だ。初代会長の牧口常三郎は獄死、2代戸田城聖は獄中から出て組織を再建、3代池田大作に後事を託した。戸田会長は3代目が大事ということを常々語っていたが、その結果か、同教団は3代目の時代に全世界に組織的に布教を図り、現在、SGI(創価学会インタナショナル)として世界宗教化の過程を進む。日本国内の創価学会は往時ほどの勢いはなくなったとはいえ、世界規模で見れば同じ傾向にあるわけではない。一方で共産主義はといえば、世界的にみればほぼ壊滅状態に近く、日本では第2代の不破哲三委員長が3代目の時代が大事といった認識があったということもほぼ聞かない。この認識の違いは、日本共産党と創価学会ではかなり対照的に思える。「共産党は3代目が潰した」。現実はまさに冒頭の識者の言葉どおりに推移している。
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2025/4/26 9:25
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森山幹事長のカベ
各党が参院選の選挙公約の発表を始めた。立憲民主党が創業者の枝野元代表の要望を聞き入れず消費税減税(食料品を1年間ゼロに)を打ち出したほか、公明党も具体的な内容は明らかにしていないが「減税」を公約に掲げる方針が発表されている。両党の公約は消費税全体の一律減税でなく、軽減税率を用いた一部の減税の可能性が高いが、本日付公明新聞は立憲民主の野田代表がかつて軽減税率について「天下の愚策」と罵っていた経緯を踏まえ「違和感を覚える」と皮肉った。公明党は次回発表時に、財源についても明示する方針だ。一方で自民党の森山幹事長は消費減税に慎重な姿勢のようで、ここでも「森山のカベ」が立ちはだかる。個人的に思い出すのは、今国会での最初のカベは3月にニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約第3回締約国会議に派遣する自民党議員の可否だった。石破首相は前向きの姿勢を示したが、森山氏がストップをかけ、公明党議員が単独で派遣される結果となったことは記憶に新しい。さらに後半国会の目玉になると見込まれた選択的夫婦別姓の導入に関する法案についても、森山氏が「最大のカベ」となっている現状が指摘されている。さらに3つめが減税のカベというわけだ。ただしいずれも、石破首相が首相自らの責任で政策遂行することは可能で、その意味では、首相はいまだ政策的な「伝家の宝刀」を抜いていない状態といえる。
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2025/4/25 8:38
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教団の説明責任
昨日公明党が発表した自民候補3人(いわゆる「裏金」不記載議員)の推薦が「唐突すぎる」と支持者の間で特にSNS上で問題になっている。同党は昨年10月の衆院選の際にも自民党が推薦しない候補者を独自推薦するなど、選挙後に同党内でしこりを残す結果につながった。今回も同じことを繰り返していると受け止められている状態だ。推薦された自民党候補者3人の選挙区は石川県、京都府、奈良県となっている。特に京都府の候補者は本日発売の右派雑誌の広告でも登場し、「日本を救う道は石破退陣しかない」(Hanada)、「石破茂の危うい歴史認識」(WiLL)など、現首相をあからさまに批判している人物であり、推薦基準にあやふやさを感じる。要するに比例区でバーター取引ができているなど、公明党の比例票等を最大化できるなら、思想信条などどうでもいいという態度にも映るからだ。いずれにせよ、党側はどのような基準で推薦を行っているのか「説明責任」を果たす必要がある。
この問題は目先の勝利(票の最大化)のためには何をやってもいいのか、同党としての一定の節度をもつべきなのかという問題にほかならない。現実に教団の会員が混乱している以上、支援団体としての教団側にも行動責任、説明責任が求められているものと感じる。
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2025/4/24 7:18
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自界叛逆の世相
鎌倉時代の既存仏教(浄土、禅、真言など)を徹底的に批判し、幕府に疎んじられ斬首の刑(執行できず)を受けそうになったものの佐渡島(新潟県)に流罪追放された日蓮は、その後鎌倉幕府が内部分裂して合戦騒ぎとなりかねない事態を見越していた。正法を保ち、それを広めようとする自身を弾圧した報いと捉えていた。いま日本の政治勢力において左右の政治グループが分裂騒動に陥っている状況を上記の歴史的史実と重ね合わせた心情で見ているのは、ごくごく少数の創価学会員くらいだろう。日本共産党は、長年公明党の“ライバル企業”ではあったが、ここに来て党最高幹部の判断ミスが相次ぎ、まったく党勢を失っている。一方、右派側といえば、月刊『Hanada』が育て、増長させた「日本保守党」という政党が、右派界で大きな亀裂を生み出し、大分裂の様相だ。安倍元首相が亡くなった後の必然的な帰結ともいえるが、あっけなく自壊していくその様子は、往時を知る者からすれば思いがけないほどの意外な状況である。中道勢力の確かさがいよいよ問われる時代となることは間違いない。
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2025/4/23 7:41
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財政規律と選挙対策
本日付日経は社説で「エネルギー補助を選挙目当てに使うな」を掲載した。すでにこの種の主張は珍しいものではない。もともとウクライナ戦争開始とともに燃料費高騰への対策として始まった臨時措置が、国政選挙のたびに与党の「選挙対策費」として機能しているとの批判はこれまでもなされてきた。同記事によると、かかった総額は12・5兆円にのぼっており、考えてみると莫大な金額に相当する。ただし有権者はこういう計算に敏感とはいえない。トランプ関税対策で当初は現金数万円を配る案が浮上したものの不人気のため断念、さらに減税話が野党を中心に噴出するが与党は乗り気でないと伝えられる。そのため何かしなければと出てきた案がこれなのだろう。話を戻すと、問題はこの臨時措置をいつまで続けるのかという「展望」のほうだ。本日付日経の「大機小機」は日本の財政状況は氷山に衝突する直前のタイタニック号に等しく、あるとき突然「財政難につけこんだ国債売り」などで「政権存続の危機」につながる旨の警鐘を鳴らす。対外マーケットの面でも、財政規律の伴わない日本政府の行動が、突然の政権崩壊の引き金になりかねない現状を理解する必要があるものと感じる。
[社説]エネルギー補助を選挙目当てに使うな
– 日本経済新聞
「財政問題」に目をつぶるな – 日本経済新聞
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2025/4/22 10:17
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公明党と外国人参政権
外国人参政権が具体的な政治課題となったのは1998年の法案提出を嚆矢とする。公明党(厳密には分党時の衆院公明=新党平和)と当時の民主党による共同提出だった。現在、この政策に関する誤解を目にすることが多いが、公明党は国政選挙における外国人参政権を主張したことはこれまで一度もない。制度上の建てつけとして、もともと地方選挙に限った話である。憲法で国政と地方政治が分けられていることを踏まえ、国政選挙はあくまで「国籍」に基づくとの考え方がある。ただし住民サービスなど地域住民としてより密接に結びつく地方選挙権については、国籍に関係なく税金も日本人と同じように徴収されている外国人(外国籍住民)にも認めていいのではないかとの世界的趨勢に応じた対応だった。この場合、外国人のうちどのような人々を対象とするかという政治的判断が生じるが、当初の法案では永住権をもついわゆる「永住外国人」と定めていた。永住者には「一般永住」と「特別永住」の2種類があり、後者はいわゆる在日コリアンなどの歴史的経緯をもつ人々を対象とするが、当時は後者の数のほうが多かった。現在は前者が圧倒的に増えており、特に中国人の増加が著しい。当初法案では選挙権のみを付与し、被選挙権はとどめおくという慎重な内容だった。公明党側で中心的に汗をかいたのはすでに物故した冬柴鉄三氏(元公明党幹事長)である。兵庫の弁護士出身であった同氏は仕事を通じてこの問題に造詣が深かった。だが四半世紀以上の時間が経過し、時代は一変。外国人参政権を主張する者は「国賊」といった誤った風潮が作られ、昨年の兵庫県知事選でも対抗馬の女性候補が過去に外国人参政権を主張したなどのデマのレッテルを貼られ、落選した経緯がある。時代をいま一度「反転」させる必要性を感じる。
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