コラム日記 - 記事一覧
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2023/10/1 6:39
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35年後の公約破り
売上高1000万円以下の小規模零細事業者の「事業者免税点制度」を廃止するインボイスが本日から開始される。1988年、竹下内閣のもとで成立した消費税法では、消費税の導入にあたって中小零細業者への配慮がなされた。売上高1000万円以下(当初は3000万円)の事業者については、消費税の納税義務を免除するもので、配慮措置の一つとされた。以来、35年がすぎる。政府がこの制度をゴリ押しするのは、将来、消費税を15%、20%に上げる際に、現状を放置していては取りはぐれる額が増えるからだろう。実際、今回この中小業者に課税しても2000億円程度の税収増にしかならない。もともと「益税」が発生する状態は税制の公平性からいえば偏りといえるが、そもそも消費税導入の際の約束を35年たって「反故」にするからには、それなりの説明と納得が必要だが、それははなはだ不十分に思える。打撃を受けるのは、収入の少ない庶民層であり、多少の経過措置を設けたところで、それは焼石に水というものだろう。民主党政権時代の野田首相は昨日付の朝日新聞で異論を述べていたが、政府は将来、消費税を上げることを見越した措置であることを、あえて言っていない。これでは国民に不正直なだまし討ちのようなやり方と言われても仕方がないと考える。
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2023/9/30 6:48
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日本国債の信用が失われる日
経済問題に詳しくない私は日経の大機小機というコラムを勉強の意味も含めて愛読しているが、本日付のコラムでは「仮想将来世代から日本を見る」と題し、50年後の未来から現在を見つめる設定で書かれている。「アベノミクス」の具体名は出ないものの、「日銀の異次元緩和」の弊害の話が出てくる。次のような具合だ。「異次元緩和終了後も政府債務が累積していったため、ついに日本国債の信用が失われる日が来た。金利高、物価高、円の下落が生じ、国民は大変な苦労を強いられた。どうして50年前の人は、この問題を放置していたのだろうか」。これから「国民は大変な苦労を強いられ」る日が来るという。そのときこそ、アベノミクスが国民的詐欺であった事実が日本社会のすべての人々に実感される日となるのだろう。
仮想将来世代から日本を見る – 日本経済新聞 (nikkei.com)
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2023/9/29 9:34
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杉田議員の処遇問題
札幌法務局から「人権侵犯」を認定されたばかりの靖国派議員の最右翼・杉田水脈代議士が自民党の環境部会長代理に起用される方向であることが本日付朝日で報道されていた。もともとは外務部会長代理の予定だったが、批判が強まり、当たり障りのない環境部会に変わったということのようだ。もともと安倍元首相が一本釣りして自民党に引っ張った人物だけに、歴史観はウリ二つで、極端な大日本帝国主義の思想の持ち主だ。ことしになっても従軍慰安婦問題などを研究する女性たちに「国益に反する研究」「反日活動」などとツイッター上で批判したことが原因で大阪高裁で損害賠償を命じる判決が言い渡されている、いわばいわくつきの人物。現在の自民党は安倍派が多数を占めるため、強力な派閥基盤をもたない岸田首相は安倍派の一員たる杉田氏に厳正な措置を取れない状態にあるように見える。要するに怖いのだ。同様に、連立を組む公明党も、触りたくない案件のように見える。だが、レッキとした「人種差別主義者」が与党内に存在し、数々の問題発言だけでなく、民事裁判でもそのヘイト発言が損害賠償を命じられ、かつまた政府機関の一部である法務局から「人権侵害議員」の烙印を押されている人間を、これ以上放置する態度は許されない。次の選挙で公認しないことこそが日本社会のためであり、安倍政治の悪しき残滓を、この際きっぱりと洗い流すべきだ。
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2023/9/28 9:18
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日本のガンは誰なのか
麻生太郎自民党副総裁が公明党最高幹部をなざしで「ガン」と発言したことが波紋を呼んでいる。名指しされた山口代表は「コメントを控える」とかわしたが、より本質的に考えれば、日本のガン=抵抗勢力はすでに明らかだ。日本の未来は間違いなく、海外から人材を受け入れざるをえない状況にある。そこで必要になるのは、外国人労働者を円滑に受け入れるための法整備と、彼らの人権を尊重する日本社会の形成、さらに共生社会を裏づける法制度の構築だ。だがこれらの方向に国粋主義的精神性から常に反発しているのがいわゆる「靖國派」と呼ばれる日本の極右であり、それと連動するネトウヨだ(一説には日本に200万人規模で存在する)。「多様性が社会を強くする」とは昨日付の東京夕刊の見出しにもあったよく言われる言葉ではあるが、これこそが社会の本質であり、真理だ。一方で均質化された社会は脆く、弱い。「靖國派」はこの真理を受け入れることができない人たちといえる。まさにガンなのだ。
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2023/9/27 9:11
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公明党の存在価値
日本で唯一の宗教政党である公明党が、まだ政党でなかった“前段階”の時代に、政治への進出を決断したのは創価学会の第2代戸田会長だった。1955(昭和30)年に地方選挙に候補者を出したのが嚆矢であり、翌年の国政選挙(参議院)にも挑戦した。公明党の結党は1964年、第3代池田会長の時代になってからだが、1955年から数えてすでに68年の歴史がある。なぜ宗教団体である創価学会が政治に人を出したのか。それは自民党と社会党に2分され、そこから洩れていた多くの大衆のための政党が必要との判断があったこと、さらに馴れ合いとなっていた政治を向上させること自体にあったことはいうまでもない。その方針は創価学会のためでなく、国民大衆のために仕事をしろといった当初の指導方針からも明らかだ。だがその方針はいまではブレが目立つことがある。目先の選挙に勝つことが優先され、多くの発想の起点がそこから出発するとき、当初の方針とのブレが生じてしまうからだ。国民 (日本国籍を持たない外国籍市民、無国籍者を含む) や有権者はバカではないので、公明党の行動が、国民の幸福を願っての行動なのか、そうでないかは敏感に察知する。同党は一つの教団のためでなく、国民や有権者の利益のためだけに動くべきであって、そこから「軸」を1ミリもずらすべきでない。その方針を堅持してこそ、初めて、同党の支持団体も社会から評価されることにつながるはずだ。その原理を揺るがせにしないことが、同党飛躍の「最短距離」につながる。
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2023/9/26 10:18
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未来社会を見据えた難民政策を
本日付の日経でUNHCR駐日代表が「難民を働き手として活用せよ」と題する短文を寄せていた。日本では難民認定の審査に「平均4年弱かかっている」と指摘し、その間、「スキルを持った人を活用せず、むしろ支援対象とすることで、二重の無駄が出ている」と主張する。要するに「難民の中には医者などの高度人材もいる」のに「人材としての活用は進んでいない」と述べている。「政府や企業は難民が働きやすい環境を整えるべきだ」とも主張しているが、現状の日本政治でこの方向を実現するには、政権交代して立憲民主中心の政権をつくるか、現状のままの枠組みであれば、与党内の公明党がこうした問題に敏感に対処し、自民党を動かしていく以外に方法はない。その意味で公明党の役割は極めて重要だが、自民党に比べ小人数の議員で全政策を担当している関係上、各議員の負担が重く、十分に機能していない面がある。
難民を働き手として活用せよ 伊藤礼樹氏 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
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2023/9/25 8:43
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日本には差別禁止をうたう法律がない
人口構成による労働力不足から移民や外国人労働者を受け入れないと国力低下する未来が明らかな日本において、日本の国内状況は悲惨なものがある。ヘイトスピーチが横行し、多くの差別も野放しに近い。いずれも日本には「差別をしてはいけない」という禁止法がほとんど存在せず、まして理念法すら存在しない最低レベルの状況が背景としてある。
通常国会でなんとか成立したLGBT理解増進法は、罰則つきで差別を禁止するものではなく、理念的な啓発を目的とするものだった。そこにおいてLGBTに特化した法律を設けた国はG7にない、などと都合のいい歪曲された主張が反対派側からなされたが、正確性に欠ける。ほかの国は差別禁止規定を法律や法規範として有しているので、いまさらLGBTに特化した法律をあえてつくる必要がなかったというのが実態だ。日本の場合は、差別禁止を明確に法律で規定しているのは「障害者」を対象とする法律くらいで、他の分野は具体的な規定がない。ヘイトスピーチ解消法は法律としては存在するが、罰則規定が入っていないことはよく知られるところだ。
日本に必要なことは、すべての分野(人種・信条・性別・門地など)に包括的に網をかけた差別禁止をうたった理念法の制定であり、さらには悪質な事例については罰則をつける差別禁止法の立法化だ。これがG7各国のスタンダート規範であり、その意味で日本は人権法制上、「未開の野蛮国」の状態にある。こんな差別横行の国に、海外から出稼ぎや移民として来たいと思う人たちがいるだろうか。日本の未来社会の存続・繁栄と密接にかかわる問題である。
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2023/9/24 6:46
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「愚策」と総括されるアベノミクス
本日付毎日新聞の「時代の風」。タイトルは穏当だが、書いてある中身は安倍政治への批判そのものだ。アベノミクスがいかに国民的詐欺であったかを専門家の立場で説明する。「本来は、欧米に倣い金融緩和を手じまいすることで、円高に誘導するタイミング」であるにもかかわらず、それをできなくしてしまった安倍政権の“自分の時代さえよければそれでいい、あとは野となれ山となれ”型の政治の報いを詳述する。同じ連立を支える公明党は共同責任を負うべき立場として、こんご厳しい局面がつづくだろう。その時に備えた準備が必要となる。
時代の風:行き過ぎた円安 政治家主導のツケ=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員
| 毎日新聞
(mainichi.jp)
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2023/9/23 9:33
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耐用年数を超えた日本共産党
日本共産党の101年目となった今年、同党の体質がまざまざと浮かび上がる事態が頻発している。党首公選制を訴える書籍を発刊した元党職員を2月に(問答無用に)除名したほか、ほかにも京都の元幹部を同じ理由で除名にした。さらにそうした党執行部の判断を批判した福岡県の現職幹部が、こんどは処分されそうだとの報道が出るなどして同党周辺は騒がしい。また同党だけでなく、土建組合や民商など関連の団体にも多くの問題が派生して起きている。
同党は戦後、ソ連や中国に倣い日本で暴力革命を試みた時期があったが、日本社会から総スカンを食らって路線を転換。1961年に新たな綱領を策定し、議会で民主的に多数を取ることで革命を成就する方式への2面作戦に切り替えた(要するに暴力革命方式は温存したままだった)。だが現実には警察監視のもとで暴力革命のための武力保持は不可能で、そちらの可能性は事実上なくなっていた。そのため現在の同党は、党大会の正式決定もないまま、暴力革命を捨てた旨を「演出」する。同党の元最高幹部は、武力なしに成功した共産主義革命は地球上に存在しないことを言明しており、同党の「議会で多数をとる」路線は党職員を食わせていくための欺瞞的な方便手段と見られていた。だが冒頭のように同党の本質的な姿が社会において浮き彫りになるのは、日本社会にとっては歓迎すべきことだ。多くの有権者が騙され、政権を奪取されたあとに北朝鮮のような独裁国家になって日本社会全体が地獄に落とされる事態に比べれば、よほど安心だからだ。同党の目先の政治的主張を鵜呑みにできるのは、同党の歴史を知らない人に限られる。歴史の一端を知れば、同党の主張を額面通りに受け取る人は少ない。
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2023/9/22 8:29
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神道と排外主義は表裏一体
明治から昭和の敗戦までの77年間、この国の思想の根幹にあった国家神道(現在の靖国勢力)は、日本社会に大きな影響を与えてきた。日本独善教といってもよい思想として、近隣諸国を見下し、排外主義を伴う行動を助長してきた。その結末が1945年の「日本亡国」であった。人によってはこの神道のもつ思想的危険性に関心を払わない人もいるだろう。だが安倍政権誕生以来のこの国の神道勢力の増長ぶりは目に余るものがある。日本社会では嫌中嫌韓本が売れるようになり、売上のために大手出版社さえ手を染めた。ヘイトスピーチが日常的な光景となった。「日本はすごい」のデマキャンペーンがことさら強調されるようになった。すべて、同様の傾向を思想的にもつ安倍政権の誕生と無縁ではない。翻って、安倍元首相は昨年、不幸な亡くなりかたをした。その結果、求心力を失った神道勢力は、いまや混乱しているようにも見える。「右のれいわ」と揶揄される百田新党におけるドタバタ劇もその一例だろう。その中で、門田隆将こと門脇護という元週刊新潮のねつ造記者についてウォッチしてきたが、この人物の行動は神道勢力をまざまざと象徴するものだ。いわゆる排外主義的傾向が突出している。ナチスのヒトラーがユダヤ人をせん滅すべき「敵」とみなしたように、門脇は中国を「敵」と公言し、はばからない。そこに対話のチャンネルなど生じようはずもないが、こうした外交の素人たちが、現在はネット社会で大手を振って活躍する。門脇護は神道勢力の本質を示しているという点でわかりやすい存在であるので、今後とも注目していただきたい。
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