日本に害悪な日本保守党

X(旧ツイッター)上で60万近いフォロワーをもつ作家の百田尚樹氏と53万の有本香氏が立ち上げた「日本保守党」なる団体。10月17日に都内で結党大会をもつということですでに党員を募集。またたく間に3万人を超え、意気盛んだ。X上の同党アカウントのフォロワー数もすでに既成政党を超え、ダントツの勢いとなっている。もともとこの団体は、先の通常国会で成立したLGBT理解増進法に反発して立ち上げられたもので、リベラル化したと評する自民党と別の選択肢を提供する意図があったようだ。だが政策もまだ明らかになっておらず、まして次の衆院選に候補者を出すと言明しながら、その具体的な姿も見えていない。それで年間6000円の党費を徴収する党員集めを開始したから、候補者や政策内容が明らかになった後、裏切られたと思う党員がいるなら、「取り込み詐欺」商法の典型といってよいだろう。

月刊Hanadaに掲載された彼らの政策(のようなもの)を読む限り、せいぜい言っているのは移民の受け入れに消極的な主張くらいで、いうなれば排外主義の体質をもつことが明らかだ。いまの日本の政治的課題は、移民を受け入れるか受け入れないかの対立点にあるのではなく、いかに問題なく移民を受け入れ活用できる共生社会にソフトランディングしていくかという「各論」にこそある。だが彼らはその前提自体をそもそも否定している。根拠となるのは、この国に2000年以上つづくという「日本独自の伝統や文化」「世界最高の国である」日本を壊しかねないとする陳腐な危機感だ。このような大日本帝国主義の亜流にすぎない主張が現在の日本社会を席巻する背景として、9年近く続いた安倍政治と、偏狭な極右論壇誌の存在を抜きに考えることはできない。この政党を称する団体は、それらの最終形を示す象徴的な姿であり、この団体の先にこそ、日本が臨むべき社会構築の姿が見えてくるものと感じる。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。