日記

2011/02/25(Fri)
右翼の裁判で“粉砕”された「ペテン師」矢野穂積の年来の主張
 15年ほど前の9月、東村山市で女性市議が転落死する事件が発生し、自殺か他殺かをめぐって大騒ぎになる事件があった。転落現場の状況、女性が万引き事件で立件間際に追いつめられていたことなどから、「自殺の可能性が高い」として事件処理されたものだが、当初から根拠もなく≪謀殺説≫を振りまいてきたのは、同僚の東村山市議だった矢野穂積(63)という人物である。矢野は転落死した朝木明代とは、“不適切な関係”を疑われ、朝木の夫の親族らが対策会議を開くような行動をとっていた人物である。
 その矢野は当初から≪謀殺説≫を主張してきたものの、転落現場には、他殺を示す根拠は見当たらず、女性市議が第三者と争った形跡も、突き落とされた事実も見当たらなかった。その後発生した数々の名誉棄損裁判でも矢野らは負け続けてきたが、2003年11月、第三書館といういわくつきの出版社から上梓した『東村山の闇』と題する書物において≪謀殺説≫をさらに拡散。その重要な根拠として、矢野らが雑誌「潮」を名誉棄損で訴え、2002年3月28日に出された一審判決をもちだして、「決定的勝利の『潮』裁判判決」なる章をもうけ、勝ち誇ったような論調を展開していた。
 何も知らない読者ならそれで騙されるのかもしれなかったが、実際は、自分たちが潮出版社を名誉棄損で訴えておきながら、その一審判決の結果は「請求棄却」。つまり敗訴したものにすぎなかった。
 今年2月16日、東村山署の副署長であった千葉英司氏が右翼の槇泰智という人物を名誉棄損で提訴していた裁判の一審判決が東京地裁立川支部で言い渡された。判決は争点となった3つの記載部分について、いずれも名誉棄損と認め、右翼を敗訴させた。
 裁判の過程で右翼は、矢野がこれまで根拠としてきた潮判決をもとに主張を展開。だが、判決ではそれらの主張を一蹴した。つまり、矢野の年来の主張を、根拠なきものとして退けたわけである。やや長くなるがその判決文からそのまま引用する。
 「被告(※槇)は、朝木直子及び矢野穂積ほか1名を原告とし、株式会社潮出版社ほか4名を被告とする東京地方裁判所平成14年3月28日判決を引用し、当該判決が、朝木市議が万引きした事実もなく、同僚の矢野穂積議員とアリバイ工作をしたという事実もない旨認定したと主張するが、同事件においては、朝木市議が窃盗犯人であるという事実及び朝木市議がアリバイ工作を行った事実等が真実性立証の対象となっており、同判決は、朝木市議が窃盗犯人である可能性は相当程度に達するものの、なお犯人と断定するに足りない旨、また朝木市議のアリバイの主張に根拠はないが、それが虚偽であったとまでは認めるに足りないから、このアリバイの主張が意図的に虚偽の事実を主張したものとまで認めることはできない旨判示したにとどまる」
 つまり、潮判決は、矢野が『東村山の闇』で書いているような決定的勝利の根拠にはならないことを、この右翼の裁判を通じて、矢野自身が“宣告”されたといってよい。
 同裁判で争点となったのは、槇が記述した(1)千葉氏が副署長として事件が殺人であることを知りながら自殺として処理した(2)転落死事件を自殺に見せかけるために、千葉氏が万引き事件を捏造した(3)千葉氏が教団とつながり、万引き事件の起きた洋品店で店主を装って用心棒をつとめた――というものだったが、いずれにおいても判決の結論は、「被告の推測にすぎず」というものだった。
 東村山市議の矢野穂積は、自分の立場を守るため、「謀殺説」を主張し続けてきた男として知られるが、近年は同事件と直接的関係のない「似非右翼」らまでも巻き込み、自説の主張を“代弁”するように差し向けてきた。だが、その右翼らが続々と敗訴を繰り返し、矢野の立場は一層悪いものになっているように見える。
 東村山市民は、くれぐれもこんな「ペテン師」に信任を与えないようお願いしたい。