日記

2008/10/31(Fri)
「草の根」の闇10  矢野穂積が「証拠隠滅罪」に問われかけた「アリバイ工作」
 東京・東村山市議会議員だった朝木明代は1995年6月19日午後3時20分ごろ、東村山市内の洋品店で「万引き」行為をはたらいた。盗んだのはTシャツ1900円分で、店主が現場を押さえ、被害届を提出した。朝木が最初に事情聴取を受けたのは事件から10日すぎた6月30日。このとき、朝木はアリバイがあるとは一言もいっていない。2回目からアリバイを主張し、3回目でそれは“瓦解”した。
 その後、「草の根」の矢野らは自分たちで発行する「東村山市民新聞」で、洋品店の店主が特定教団とグルになって万引き事件を捏造したなどといった名誉棄損記事を、95年7月から96年6月にかけて繰り返し掲載した。そのため店主は97年4月、虚偽事実の記載に基づく名誉棄損行為として、1000万円の損害賠償を求めて矢野穂積と朝木直子を東京地裁八王子支部に提訴した。
 結果はどうなったか。一審・二審・最高裁とも原告である店主の主張を全面的に受け入れ、矢野らが「市民新聞」に掲載した記事内容は≪デマ≫であると認定し、100万円の損害賠償を命じた(2004年1月30日確定)。要するに、矢野と直子の主張は嘘っぱちであると、明確に認定されたのである。つまり、万引き事件は“実際にあった”と、裁判所は繰り返し認定してきたわけだ。
 裁判所が認定した事実によると、事件当日、朝木明代は自身の供述どおり、北海道拓殖銀行東村山支店のキャッシュコーナーを利用していたが、そこで撮影された監視カメラの映像では、店主の主張していた「犯人」とまったく同じ格好をした「朝木明代」の姿が映っていた。さらにアリバイ工作に使ったファミリーレストランの該当客は、実は女性の二人連れであり、矢野らの主張とまったく異なっていた。
 結局、裁判所は、(1)朝木明代の万引き行為とそれにつづく店主とのやりとりを目撃していた者が3人いる(2)店主が証言した「犯人」の格好とその日の「朝木明代」の格好がまったく同一のものだった(3)にせのアリバイ工作をしたことが明白――などの理由から、矢野らが「市民新聞」に垂れ流した記事には真実性がなく、「明確な根拠に基づかない一方的な非難」(東京高裁判決)と結論づけた。
 この裁判で、矢野らは原告がTシャツのビニールカバーを裁判に提出していないなどと難クセをつけた。おそらく指紋を採取していないとでも言いたかったのだろう。裁判所は、「その提出がなかったことからただちに故明代が万引き事件の犯人でないことが明らかであるとはいえない」と“一蹴”している。
 要するに、矢野穂積らの主張はほぼ100%、「証拠」に基づき、否定されている。原告の洋品店主側が目撃者の氏名を明らかにしなかったのは、もうこれ以上、訴訟などの「お礼参り」の被害者を増やしたくなかったからにちがいない。≪常軌を逸した恫喝議員≫の体質を、直接的経験に基づいてだれよりも深く知っていたのは、洋品店の店主にほかならなかったからだ。
 だが、そんな弱い立場の店主に対し、いまだに“嫌がらせ”を続ける「バカ」もいる。捜査にかかわった千葉英司氏がそんな市民を守ろうとした行為は十分に納得できる。警察出身者の鑑(かがみ)だ。
 ちなみに、転落死事件がなければ、朝木明代は「窃盗罪」で起訴されただけでなく、矢野穂積とともに「証拠隠滅罪」に問われた可能性がある。明代が死んで“命拾い”したのは、実は矢野自身だった。