日記

2008/03/05(Wed)
「サイコパス」の特質
 サイコパスは日本では精神病質と訳されることもあるが、すでに欧米では「サイコパス」という用語そのものが定着している。サイコパスには、通常の人間がもっているはずの「良心の呵責」といったものがない。つまり、これは≪感情をつかさどる脳の働き≫の欠陥なのだが、なぜこうした人間が生まれるのか、その原因は解明されていない。先天的なものであるのか、後天的なものであるのかを含めてである。
 サイコパスの顕著な特質をあげるとすれば、一つは例外なく「嘘つき」であるという事実だ。もちろん、通常の人間でも嘘も方便というように、日常生活を円満に進めるために多少の嘘をつくことはあろう。だが、サイコパスのそれは、次元がまったく異なる。自分の身を守るために、自分の利益のために、法廷でも、マスコミ相手でも、平気でうそをつく。
 さらにもう一つの顕著な特徴は、第三者を「操作する」という特技である。サイコパスは人の心情を読む能力が極めて高いため、人の弱みを把握することにたけている。そうした特技を使って、第三者を動かすのだ。そのため、善意の人間など、すぐに騙されてしまう。結果的に、悪の手先として利用されてしまうことになる。サイコパスは、表面的には人当たりがよく、あるときは極めて誠実な人間として印象づけられることさえある。だが、その内面の本質はまったく異なっているというわけだ。
 サイコパス研究の先覚者、ロバート・ヘアによれば、新聞の社会面を騒がせている者の多くが、実はサイコパスであるという。
 サイコパスは、良心の呵責という感情を欠如しているので、さまざまな犯罪行為に及ぶことが多い。サイコパス・チェックリストに「多種類の犯罪行為」の項目があるのは、そのためである。さらに、幼少期、あるいは青年期からそうした兆候が現れていることが多い。通例、こうしたサイコパスの特徴は、死ぬまで治らないものとみなされている。
 サイコパスは、「良心の呵責」を自らの≪感情センサー≫で感じ取ることができないという致命的欠陥をもっているが、「良心の呵責」という感情の働きを≪知識≫としては“理解”している。そうした一群の人々が世の中に一定の比率で存在することは、すでに科学的知見の一つであり、知っておいて損はない。