日記

2005/03/21(Mon)
◆新潮ジャーナリズムの虚構  裏づけもとらず大見出しをつける「早川清」
 新潮社が朝日新聞社に対し500万円の損害賠償の支払いを東京高裁で命じられた問題で、編集長の早川清氏は、裏づけがとれていない段階で記事の大見出しを付けていたことがこのほど判明した。
 問題となったのは、2003年2月20日号の『週刊新潮』に掲載された「インターネットから『盗用』していた朝日の看板コラム『天声人語』」と題する4ページの特集記事。この記事で2本の天声人語をやり玉にあげ、「インターネットからの盗用」との大見出しを打ちながら、執筆者に直接取材することもなく、さらに裏づけがとれていない段階で早川氏はこの大見出しを付けていたという。
 この記事の企画を立案し、取材にも関わった元週刊新潮記者の「陳述書」(2004年11月24日付)によれば、「いつもの週刊新潮の記事と同じように、はじめから『盗用』ありきで、あらかじめ決められていた見出しに合わせて記事が仕上げられたと言われても仕方がない」と指摘したうえで、次のような衝撃的な証言をつづけている。
 「本件記事について編集長が『盗用』の見出しを張り出したとき、草野敬デスクは、思わず『盗用か、参ったなあ』と漏らしていましたが、朝日新聞社から提訴された後も、『困ったなあ』と言っておりました。草野デスクも『盗用』と断定するのは無理だと考えていたのだと思います」
 ちなみに「草野敬」は、この記事を担当・執筆したデスク。先の陳述書は全2ページの短いものながら、直接この記事作成にかかわった記者の証言だけに、真実味がある。さらに同記者は、「『盗用』と決め付けるには取材が不足していたことを認めざるをえません」と率直に思いを綴っている。
 元記者は、「週刊新潮」の日常的な“捏造コメント体質”などに嫌気がさして契約記者を辞めた人物とされるが、新潮社を去ったあと、心ない同誌編集部員らから執拗な嫌がらせを受けているとも聞く。
 だが、裏づけをとらずに記事掲載するジャーナリズムとは、いったい何であろうか。「週刊新潮」の捏造体質はいまに始まったことではないが、同誌こそまぎれもない「魔女狩り大虚報」の“元祖”であることは間違いない。だが、そうしたやましさを自ら感じているせいか、自分以外にそうした罪をなすりつける“責任転嫁”も「大得意」である。
 ちなみに新潮社を去った元記者氏が、“捏造記者の典型”ともいえる「門脇護」の誘いをきっかけに同誌の契約記者になったという事実も、皮肉なエピソードとして記しておきたい。