シロアリとしての侵食法

1990年代初頭にソ連が崩壊した際、これで日本共産党も壊滅的衰退に向かうと考えた人もいたようだ。だがそれから30年近くすぎてもそのような状況には至っていない。なぜなのか。一つは同党の生き残りをかけた戦術転換があげられる。一つはソ連の共産主義は自分たちとは異なる別物(まがい物)と節操も捨てて主張し、そのソ連と真っ向から戦ってきたのが日本共産党であったとのプロパガンダの拡大だ。対外的にはともかく、これは党内向けには有効な論法だったのだろう。さらには共産主義そのものにもはや触れることも固執する姿勢も持たず、ひたすら有権者の身の回りの世話(医療、税金、土建労働、行政対応…)などを肩代わりすることで有権者に恩を売り、票をかき集め、生き残りを図るという手法だったと思われる。現状、それは有効に機能しているというのが目前の姿だろう。その意味で、日本の政界は、滅亡する運命にあった政党の生き残りをかけた自己保身と、それへの有効な対策の欠如によって現状を招いたといわざるをえない。

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