右翼と左翼の共通点

 これは日本国内という限定つきの話なのだが、日本の右翼と左翼には思考方法として重要な共通点が見られると感じる。右翼の側からみれば、例えば日本会議の主張などを見ていると、言っていることを平たくまとめれば、日本は世界有数の長い皇室の歴史をもつ珍しい国であり、誇れる国である。隣国とは比べ物にならない素晴らしい歴史を持つ国といった主張だ。要するに自民族中心主義の域を出ないことはいうまでもない。ところが左翼にも似たような傾向があるのはどうしたことか。日本の左翼の象徴ともいえる日本共産党は、ソ連共産党の事実上の子分として1922年に設立され、以来30~40年の長きにわたり、ソ連の事実上の部下として活動した歴史をもつ。ところが途中から、「自主独立」などと言い出し、日本共産党こそ、本物の共産主義であるかのような主張を始める。彼らの言葉でいれば、高度に発達した資本主義国における社会主義革命こそ日本共産党の使命であり、そうした事例は日本以外にないといったものである。要するに左翼の側も、日本はすばらしい、日本の共産主義政党は素晴らしいと、「日本の~」を持ち上げる図式となっている。 結局のところ、日本会議も、日本共産党も、彼らの主張は地下水脈において連関しているように思えてならない。それは表面上に出てくる主張はたとえ正反対であっても、一種のナショナリズム的発想で支えられていることは明らかと思えるからだ。 この国に中道政党が必要不可欠となる理由がここにある。

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