空手雑感 7

「極真空手が最強の空手」とのイメージが大きく崩れるきっかけとなったのは、極真の世界チャンピオンがK1の舞台でパンチ1発でKOされたことが大きかったと思われる。加えて、世界チャンピオンにはならなかったものの、何度も日本チャンピオンに輝いた著名な日本人選手が、小柄な沖縄空手の達人に、組手で勝てなかった事実も多少影響しているかもしれない。この選手はその後、その達人に弟子入りしている。

空手の源流である沖縄空手と本土で発展したフルコンタクト空手の違いは、型を主とするか、組手を主体とするかという基本的な思想の違いに発している。先の事実は、結局、型を主体とする沖縄空手の修行法のほうが有効であることを示しているわかりやすい事例なのかもしれない。

沖縄空手の伝統は700年といわれ、その間に世代を超えた名人クラスが何度も修正を加え定着したのが「古流の型」である。その型は本土に伝わる過程でさらに改変を余儀なくされ、現在では玉石混交のものとして残っている。沖縄の古流空手に戻ろうとする動きは、本当の強さを求める人間の欲求のようなものなのかもしれない。

現在、極真会派で「古流の型」を本格的に取り入れている流派は見当たらない。世界的に極真流のフルコンタクト空手のあり方に対する風当たりが強まる中、型の概念において、原点回帰を成し遂げて取り入れることに成功した流派が、今後も末永く日本の空手として生き残っていく気がする。

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