左右の反知性主義

 事実に基づかず自分の見たいように歴史を見る態度を「反知性主義」という。この態度は右側だけに見られるものではなく、左側にもある。本日付紙面でその典型的な姿が両者にあったので紹介しておこう。右の反知性主義は、本日付の産経新聞の書籍広告だ。3面にWACの広告が出ているが、書籍のタイトルは『日本を貶める「反日謝罪男と捏造メディア」の正体』というおどろおどろしいもので、サブタイトルには「中国に惨めにひれ伏すとはアンタら、ホンマに日本男子?」という文字がある。こうしたわかりやすい反知性主義に比べて、左のそれは少し高等だ。本日付のしんぶん赤旗のコラムに「反共は戦争前夜の声」という文章が掲載されている。安倍首相が先日の衆院本会議で「日本共産党は暴力的破壊活動を行った疑いがある」と述べたことに対しコラムとして噛みついたもので、「公安調査庁の見解をおうむ返しになぞる、驚くべき無恥の所業」などと罵倒している。確かに安倍首相の言葉は正確ではない。実際は「日本共産党は暴力的破壊活動を行った」と、「疑いがある」などの中途半端な言葉は削除すべきなのだ。「反共は戦争前夜の声」などといったたわごとが通用したのは、いまから30年前までの話だ。共産主義は、戦争を容認し、暴力活動に手を染めた。それは日本共産党も例外ではない。そしてその責任をまったく負っていないのも、いまの日本共産党である。こんな「無責任体質」の政党が政権に入ると大変なことになると当コラムは再三再四警告している。

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