有権者の世話をして票に結びつける

足立区に柳原病院という医療機関がある。私の姓と同じなので気になるわけではないが、全日本民主医療機関連合会、いわゆる共産系の病院である。その足立区で共産党員の区長が誕生したのは1996年のことだった。それから99年まで共産区政は続いた。そのころ、共産党の医療機関が純粋な医療行為だけでなく、政治目的の集票活動を行っていることが世間でも社会問題になったことがあった。日本共産党は2000年ごろから特に、医療や福祉分野に着目し、重点的に力を入れるようになった印象がある。要するに人の世話をすることで、世話になっているという受益者側の心情を利用して、集票に結びつける手法なのだが、対象となる高齢者は選挙には必ず行く人が多い世代であり、それなりに効果をあげている面もあるようである。日本共産党の集票パターンの一つが、ある意味で相手の弱みに付け込んで行う手法であり、生活に根差した問題であるだけに、当人にとっては心が動きやすい。ひるがえっていまから60年前は、社会主義の優位を選挙で訴えることもできたが、ソ連が崩壊し、北朝鮮があのような現状では、そうした主張は時代に合わなくなっている。そのため、そうした「主義」とはまったく関係のないところで集票活動を行っているのが同党の現状だ。日本共産党について「ブレない野党」と評価する有権者がいるらしいが、それはごくごく近視眼的な物の見方にすぎず、60年前くらのスパンで同党の過去の歴史を調べれば、当時と今とでは「正反対」のことを言っているのが現実である。

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