都政の問題で日本共産党が焦る理由

東京都政で先般話題になったことの一つに、私立高校の授業料無償化がある。これは東京都の2017年度予算案が発表された際に明らかになったもので、小池百合子知事の「政治決断」によるものと評価されている。これに対し、日本共産党は1月19日付の機関紙「しんぶん赤旗」の1面で、「党と住民の運動実る」と題し、「今回の方針は私立高校生の父母や教職員、都民と日本共産党などの運動が実ったもの」と自画自賛してみせた。

ところが一般紙は、この赤旗記事とはまったく別の評価を行った。1月26日付の朝日新聞は「小池予算 都議選にらみ」「公明要望で『私立高無償』」と大きな見出しの記事を掲載(社会面)。記事の中では、「ご要望のあった公明党と話が整った」と、小池知事が記者団に語った発言も紹介されていた。また同日付の読売新聞も「都議選見据えて公明の要望重視」との見出しを立て、解説記事を掲載した。

一般紙を読む限り、私立校の高校無償化は公明党の尽力によって、小池知事が呼応して実現した施策であり、共産党の力で実現したものではまったくないようだ。

共産党が焦る背景には、「小池知事VS守旧派自民党」の構図がクローズアップされるあまり、同党の存在感が埋没することへの恐れがあるとも指摘されている。

本日付の各紙は、石原慎太郎元知事らの都議会委員会での参考人招致が決まったことを伝えている。共産党機関紙「しんぶん赤旗」はここでも、「共産党都議団の要求実る」と自画自賛ぶりを発揮している。

「これも私の手柄」「あれも私の手柄」……。一人の人間に置き換えれば、日本社会ではこんな性格の人物は周りから疎んじられることが多くなりがちだ。しかし、政治の場合はやや様相が異なるようで、たとえ事実と異なっていたとしても、有権者を欺くためには自己主張したほうがトクといった側面があるようである。

 

【しんぶん赤旗】 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-19/2017011901_03_1.html

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