日共新宿地区委員会の二枚舌

1週間ほどの地方出張から戻ると、テーブルの上に「ヒドイ! 10月15日、新宿区は31867人の高齢者名簿を区内4警察に提供!」との見出しの入ったビラが置かれていた。「こんにちは 近藤なつ子です」とタイトル書きされたビラである。新宿区役所が特殊詐欺対策として、区内の4警察に、65歳以上の区民の名簿を提出したことを、日本共産党が批判している内容のチラシで、そこには「区長は高齢者の声に耳を傾けず、名簿提供を強行しました。本当に許せません!」とあった。

何が問題なのか、と疑問に思って読んでみたものの、新宿区が警察署に提供したデータは、(1)氏名(2)住所(3)生まれ年にすぎないもので、この情報をもとに警察側が、注意喚起のために住民宅を回るのだという。同党は、警察官が「訪問途中でその資料を紛失しないとは限らず、非常に危険です」などとチラシの中で危機を煽っている。思わずその馬鹿さ加減に、噴き出しそうになった。

こんなことが反対理由なら、すべての行政機関の関係者は、いつでも資料を紛失する可能性があるではないか。プライバシー侵害の強弁も、ここまで来ると、異常あるいは異様と思わないではいられない。

住民の不安を煽り、自らの主張に誘導する。何ら生産性を伴わない行動で集票を図るこうしたやり口は、日本共産党のいつもながらの十八番のようなものだが、今回もまったく同じケースだ。ほとんど言いがかりにすぎないともいえる。

日本共産党は60数年前、警察官に火炎ビンをなげつけ、組織的に警官を殺害するなどの犯罪を繰り返してきた集団である。その段階で、この政党は解散させられるべきであったと個人的には考える。そうした経過からか、同党がいまも警察官を嫌いな心情は理解できるが、それでも警察は国の統治機関の一部である。国民の安心・安全のために働くという公の目的を持っているわけだから、政治にかかわる政党が、その警察を正しい存在目的のために使おうという発想ならまだしも、最初から「敵」のようにみなして、すべてにいちゃもんをつけるかのような姿勢は、暴力団関係者の言いがかりと、本質的に何が異なるというのだろうか。

むしろ私は多くの住民から、「選挙の際に共産党から電話がかかってきて気持ち悪い。電話番号を教えた覚えもないのに、どこで調べてかけてきているのか。プライバシー侵害もはなはだしい」といった声をよく耳にする。

結論として、日本共産党は、自分たちの集票活動という私的な目的のためにはさまざまなルートを通じて個人情報を収集しておきながら、住民の安全を守るという公の目的にほかならない治安維持のための警察や行政の行動を認めることなく、批判の対象にしているわけだ。

こんな「二枚舌」の人びとも珍しい。見事な天然記念物的存在と思える。

 

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