匿名やハンドルネームは通用しない損害賠償の世界

 一昨日のニュースだが、産経新聞の編集委員が自身のフェイスブックに投稿した記事で名誉を棄損されたとして民主党参院議員が訴えていた裁判で、東京高裁は5日、一審判決の110万円の賠償金支払いを命じる判決を踏襲する判決を言い渡した。記事では参院議員の氏名を実名では記載しておらず「某氏」と書いていたが、判決では本人とわかると指摘し、高額の賠償金を認めたものだ。
 SNSに関する損害賠償といえば、今年8月には、ツイッターをめぐる興味深い判決が出ている。従軍慰安婦問題に関する記事で時の人となった植村隆元朝日新聞記者の娘が訴えた裁判で、170万円の慰謝料の支払いを命じる判決が東京地裁で言い渡され、そのまま確定した。被告となった人物は、娘の顔写真を掲載した上、誹謗中傷の書き込みを≪匿名で≫行っていたが、裁判を起こしたことで被告本人が特定され、高額の慰謝料を支払う結果となったもの。
 これらからわかるように、たとえ手軽なSNSとはいえ、そこで発信される情報は、100万円単位の高額な賠償対象になるという事実だ。また匿名で書いたところで、裁判で訴えられればほぼ人物も特定されてしまう(世間に晒される結果となる)という厳粛な事実だろう。

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