安倍首相がつまづく要因となった情報公開

陸上自衛隊の日報問題をはじめ、森友学園への国有地払い下げ問題、加計学園による国家戦略特区での獣医学部新設計画など、安倍内閣で国会を揺るがせた多くの問題が、国の情報公開に関わる姿勢と密接に関わっている。国側は安倍首相を守ろうとばかりに保存期間が「一年未満の文書」という理由で開示を拒んできた。本日付の各紙では、公文書管理法に基づく指針(ガイドライン)が年内に改正され、来春施行をめざすと報じている。

具体的には「保存期間1年未満」にできる文書の種類を7種類に限定して歯止めをかけるというが、「担当課の判断だけで廃棄できる点は変わらない」(毎日)うえ、「外部機関のチェックが届かない仕組みも従来と変わらない」(日経)という。果たしてどこまで制度運用の改善がなされるのか、おおいに疑問が残る。

この問題は制度を多少変えたところで、それを扱う人間の姿勢が変わらない限り、抜本的な変化は見込めないように感じる。「情報は本来国民のもの」との理念が省庁の役人の意識の中に根づくには、やはり日本国憲法に「国民の知る権利」を明記することが、もっとも近道だ。

安倍首相は9条に手をつけるなど政治家としての個人的名誉のために政治を使うのではなく、国民の利益を最大に優先するこの問題に、憲法改正の方向を転換してほしい。「知る権利」の明記には、野党第一党の立憲民主党も、はては参院の民進党も反対しないはずだ。まして国民投票ともなれば、過半数を得ることは間違いない。そうなれば、最初の憲法改正は、大成功に終わり、安倍首相は、自身の過ちに自分の手でケリをつけた潔い首相として、後世に長くその名を伝えられることになるだろう。

 

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