『ブラックボックス』 良心の呵責なき行動

大手テレビ局の元ワシントン支局長に合意なしにホテルに連れ込まれ性交されたと訴えた女性の手記本。この本の中で加害者とされる男性は、性行為があったこと自体は認めているようだ。問題は女性が酒を飲んで途中で急激に意識を失うように昏睡したこと、さらに泥酔状態の女性を自分の宿泊するホテルに連れていったこと、さらに犯罪的行為は介抱するのではなく全裸にして上からのしかかり行為に及んだことだ。女性の手記によれば、その行為の最中に痛みで目を覚ましたことになっている。男性は「合意の行為」と主張しているようだが、状況証拠からすれば、明らかにクロであり、その居直りぶりは、「良心の呵責なき一群の人びと」と性質を同じくする。

要するに相手を同じ人間とは思っておらず、自分の欲望のためにはいいように使うことが許され、さらに必要なくなれば冷然と捨て去るサイコパス特有の行動と瓜二つだ。仮に加害者とされる男性が自分の正当性を主張するのなら、女性のこの本が出る前の、女性が最初に記者会見した段階で、名誉棄損で告訴するなり、提訴すべきではなかったろうか。

「合意のもとに行われた行動」か、あるいは「強制的になされた行動」かの範疇で争われるのなら、詐欺師同然とも思える加害者側の行動を処罰する法的な仕組みを整えることが必要だ。

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