伊藤詩織著『ブラックボックス』を読む

文藝春秋社から先月発刊された話題の書を手にとる。客観的にみて、被害者でしかない女性側が実名をなのって、被害体験を具体的に書き込んでいる。世間ではすでに周知の事実となっていると思うが、アルバイトをえさに酒に酔わされた女性がレイプされたという内容である。本では、酒に薬を盛られたとは書いてないが、状況から見るとその可能性が高いのかなと思わせる。意識を失った著者が次に目を覚ましたときはホテルのベッドの上で全裸にされた自身の肉体の上で上下運動を繰り返すオトコの下になっていたというものだ。どれほどの驚愕と恐怖に見舞われたことだろう。探してもパンツが見つからない著者に対し、加害者とされる男が「パンツくらいお土産にさせてよ」と述べる場面も書き込まれている。非常に具体的である。

加害者側とされる男性は、女性の主張を「虚言」と断じ、自分こそが報道被害者であるかのようにSNS上で振る舞っているようだ。この場合、女性がウソをついて得することは何もない。失うことばかりだ。それでいてここまで書き込んでいるのは、真実だからだと多くの読者は思うだろう。

仮に加害者男性が女性の主張が「狂言」であると主張するのなら、名誉棄損で女性を訴えるべきであろう。また名誉棄損罪で刑事告訴すべきであると思うが、それらをいずれも実行していないところを見ると、加害者男性の言い分に信憑性は感じられない。こうした加害行為を行ったと思われる人物を産経新聞の著名論説委員などが「擁護」しているようだが、およそまともな感性とは思えない。

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