本日付の産経新聞「正論」欄に珍しいことに櫻井よしこ氏の論考が掲載されている。タイトルは「首相は気概を持って愁眉を開け」というもので、安倍首相にいまこそ憲法改正を実現せよという、いつもながらのプロパガンダ芸者らしい居丈高な主張である。数の上では多数をとった自公の連立政権合意に、憲法改正の項目が入ったことが報じられている。内容は「（憲法改正の）合意形成に努める」というもので、当初自民側が打診した「憲法改正を目指す」との文章を公明党側が押し返したと本日付の朝日新聞は説明している。

衆院で圧倒的多数の改憲派議員が誕生したとはいえ、参院３分の２のキャスティングボートは依然公明党がもっている。その公明党が自衛隊の９条明記には慎重なうえ、野党第一党である立憲民主党の、「（安保法制の上に）憲法で自衛隊を明記すれば、専守防衛ではなくなる」との主張をふまえると、この問題はすでに動かしようがない。仮に安倍首相が少しでもごり押ししようとする姿が世の明るみになれば、その時点で、ガラス細工のような権力基盤の上に立つ安倍政権は崩壊に向かうだろう。

結論として、憲法改正をしたいとするのなら、野党ものめる内容から始めるしかない。「知る権利」の明記を本サイトが主張するのは、その意味でだ。立憲民主党も、公明党も、あるいは共産党でさえ、反対しないはずだ。