不破哲三まで担ぎ出した共産党の焦り

本日付のしんぶん赤旗によると、日本共産党の理論的指導者とされる不破哲三こと上田建二郎前議長が昨日、東京20区で宮本徹候補(比例前職)の応援演説に入った。宮本氏は東大卒の同党における若手を代表するエリートで、将来を嘱望される人物とされる。不破氏は87歳と高齢ながら、先週の金曜日(13日)に東京12区の池内さおり候補(比例前職)の応援のためにJR池袋駅東口で行われた街頭演説に今回の選挙で初めて演説を行ったばかり。体調に留意しながら東京の重点区で応援するというのが、現在の不破氏のスタンスのようだ。

とはいえ、昨日の不破氏の演説内容を見る限り、いつもの同党の美化体質、プロパガンダ体質が顕著だ。不破氏は演説の中で、今回ノーベル平和賞を受賞した非政府組織ICANを例に引きながら、7月の核兵器禁止条約を決める国連会議に日本の政党で出席したのは日本共産党だけであったと自画自賛。さらに「侵略戦争に反対し、命がけで平和の旗を守った政党」と持ち上げている。

当然ながら不破氏の演説では、過去にソ連という特定の大国の核実験に賛成するキャンペーンを繰り広げて多くの被爆者や被爆者団体を踏みつけにして当事者に抗議された事実や、戦後まもない時期に多くの暴力抗争をしかけ、極左暴力路線をとった事実などについては全くふれていない。

都合の悪い事実は忘れたふりをして拭いさり、都合のいい、見栄えのいい事実だけをかきあつめて印象操作を図る技術は、いつもながらの健在ぶりだ。

日本における近年の左翼勢力の退潮傾向は、私にいわせれば、日本共産党のようなデマゴーグ組織が、日本の左翼勢力の中で大きな柱を占めていることに起因する。欧州のような健全左翼とはまったく異なる存在が生き残っていることによる。日本はやはり特殊状況としか思えない。

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