市民を裏切り、ブレてきた政党

8日付「しんぶん赤旗」にこうありました。「『比例は共産党』大波起こす」。全国比例で850万票、東京ブロックで110万票が共産党の目標のようです。同じ日の紙面に、「日本共産党は、綱領に『核兵器廃絶』を掲げる党として、日本と世界の核兵器廃絶運動と固く連帯してたたかってきました」――。本当でしょうか? 1961年9月、この党はソ連の水爆実験に賛成するキャンペーンを大々的に「アカハタ」紙上で始めました。広島・長崎の被爆者および被爆者団体から強い抗議の声が寄せられました。当たり前でしょう。世界で唯一、被爆体験をもつ日本の政党が、水爆実験に賛成などと突然言い出したわけですから。

当時の日本共産党の綱領にはこう書かれていました。「党は世界の平和と、社会制度の異なる諸国の平和共存をめざしてたたかう」「党は、核兵器の禁止を要求し、全般的軍縮のためにたたかう」。これは1961年7月に採択された、まだ出来たてほやほやの改正綱領でした。同じ綱領には次のようにも書かれていました。

「党は、アメリカ帝国主義とわが国の売国的反動勢力が共同しておこなっている社会主義諸国とアジア・アフリカ諸民族への侵略戦争準備、原子戦争のいっさいの準備に反対する」

「党は、『万国の労働者団結せよ』の精神にしたがって、プロレタリアートの国際的団結をつよめるために努力する。ソ連を先頭とする社会主義陣営、全世界の共産主義者、すべての人民大衆が人類の進歩のためにおこなっている闘争をあくまで支持する」

当時の同党は、「ソ連の闘争をあくまで支持する」との綱領のとおり、ソ連の水爆実験に対しては大々的に賛意を表し、一方でアメリカの核実験については「いっさい反対する」という矛盾だらけの行動をとりました。

最近「緑の小池」(小池都知事のこと)と対称的に「赤い小池」と称される共産党の小池書記局長は、10日付の「しんぶん赤旗」で、自党のことを「市民を絶対に裏切らず、共闘の大義を貫く党」「95年、反戦平和を貫いてきた党」と自画自賛しています。

しかし、これらの言葉にある「市民」には、過去の「被爆者」は含まれていないのでしょうか。さらに火炎瓶を投げつけて日本の警察署を焼き打ちにして日本中の市民を震撼させたおそるべき一連の暴力行為は、彼らにとっては反戦平和の行動だったというのでしょうか。

日本共産党の言葉は、彼らが言う安倍首相と変わらないくらいにウソばかりです。所詮は同じ穴のムジナのようです。彼らは正確には、次のように言うべきではないでしょうか。

「市民のことを裏切ったことも数多くあるが、とりあえず選挙では『裏切ったことのない』ことにしたい政党」

「95年の長い党の歴史において暴力革命を志した時期があったことも事実だが、とりあえず選挙では『そうした事実はなかったこと』にしてしまいたい政党」

「有権者はバカだからそんなことは気づかないとばかりに虚偽宣伝にあぐらをかいていたい政党」

日本共産党にとって、善意の市民を騙すのは、とても簡単なことです。またそれが「革命」への道程を手段としか考えない、彼らの大事な仕事でもあるわけです。

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