日本会議発の「妄言」信じる小池代表の浅はかさ

希望の党公認の前提として、民進議員に「政策協定書」への署名という踏み絵を踏ませた小池百合子代表。その中に、外国人地方参政権に反対することという項目があることはすでに紹介したとおりだ。このことが小池代表の掲げる「ダイバーシティー(多様化)社会」に反するとの記事を掲載したのは本日付の毎日新聞(社会面)である。こうした記事を目にすると、新聞の良識といったものを感じる。

この記事によると、小池代表は都知事選の第一声で、外国人の地方参政権を認めると国境の与那国島になんらかの意図を持った人たちが押しかけて大変なことになると叫んだという。私は浅はかながらこの演説内容を知らなかった。結論として、この主張は、日本会議が独自で大々的に発したデマにほかならない。民主党政権のもとで一度この問題が実現化しそうな局面が訪れた際、日本会議がキャンペーンした内容がまさにこれだった。

与那国島には私自身も足を運んだが、2000人に満たない人口に、永住外国人はわずか5人程度。島内には住める家屋が限られており、島外からそのような不穏当な目的をもった外国人が入ってこようとしても、大量定住することは物理的に不可能だった。まして狭い島のこと、異質な人間はすぐに感づかれる。要するに、日本会議は、この法案憎さのあまり、一般受けしそうなデマをこしらえて、事実と関係なく、デマ・キャンペーンとして始めたのがこの「与那国乗っ取り説」にほかならなかった。

先の毎日記事では識者のコメントとして、「人口減少の中、外国人を社会に受け入れることが経済的にも必要で、長期的な視点がない証拠」と、希望の党の政策協定書を斬って捨てている。また小池代表自身、99年には国会の委員会でこの法案に賛成する意見を述べていた事実も記事では紹介されている。

要するに確たる信念なく、時の状況で自説を覆す政治家の姿がこの記事では見事に浮き彫りにされている。加えて、先の「政策協定書」には、肝心の目玉公約のひとつであるはずの『原発ゼロ』を求める項目は記載されていない。そのため希望の党の公約が、どこまで本気なのかといぶかる民進議員もいたようだ。

政治はスローガンではなく、現実に何を進めたか、何を残したかだ。東京都知事としてまだなんらの特別な実績もない女性党首に、「小池代表には花がある」といった程度の印象で信頼を寄せるのは、民主党の教訓を二度繰り返すのと同じことに思える。

 

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