「安全地帯」から中国を批判する日本共産党

ノーベル平和賞を受賞した中国の劉暁波氏が亡くなった件について、日本共産党が中国政府への批判を重ねている。今日付の「しんぶん赤旗」にも、「劉暁波さんへの中国政府の弾圧は異常だね」と題する対話コラムを掲載し、「中国は言論・表現の自由などの擁護を明記した国際人権規約にも署名している。その責任と義務に立ち返り、言論による体制批判には言論で対応すべきだね」との文章で括っている。これを読んで思わず、プッと噴き出しそうになったのは私だけだろうか。

日本共産党は中国政府の対応に対し、「言論による批判には言論で対応すべき」だと述べている。いまから15年以上前、私がペンネームで共産党を批判した書物に対し、言論で対応することをしなかったのは、実はその日本共産党自身だった。書物を刑事告訴し、さらに民事提訴してきた。その際の責任者は、現在党委員長を務める志位和夫氏である。

その書物に事実誤認や虚偽記載は一行もなく、ほぼ名誉棄損には該当しない内容だった。そのためか、日本共産党は約1年半後に裁判を取り下げることに同意する和解に応じている。

私はその書物で、過去の北朝鮮と日本共産党との関係を詳述し、さらに同党機関紙に当時社説として掲げられていた内容を「資料編」として掲載した。その資料が、著作権法違反にあたるとして、訴えを加えていた。要するに、過去の自らの政治的主張について、それを掲載することはまかりならんと言ってきたわけである。

日本共産党は日本において政権に参画した経験がなく、その意味において、ソ連共産党や中国共産党を批判する「資格」をそもそも欠いている。なんの経験もない人間が、経験し、苦労している人間に対し、高みに立って訳知り顔の批判を行う。私はこうした性根の腐った行為がたまらなく嫌である。このような欺瞞の党が広がることは避けなければならない。なぜなら日本社会の最大不幸につながることを、歴史の事実の上から確信するからだ。

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