コラム日記 - 記事一覧
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2024/4/20 8:13
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自民党と共産党の共通性
自民党と共産党が窮地に陥っている。原因は2つの政党とも「自己変革」できないという共通体質をもつためだ。政治資金規正法改正への自公協議が始まったが、自民党側は自分たちの案すら作成していない。やる気がないとしか思えない。そのため野党第一党の立憲民主からは公明党を野党側に引きこんで「自民党包囲網を作る」(本日付毎日)などの発言も飛び出しているようだ。公明党は国民目線からの改革を訴えるが、自民党がすんなり乗るかどうか心もとない。問われるのは公明党側のスタンスでもある。一方の日本共産党も、自己変革ができない政党であることを顕著に露呈させている。異論を排除することで政党運営できた時代はとうに過ぎ去り、新しい時代に対応して変化しなければならないことは明らかなのに、それができない。結論をいえば、最高指導部層に勇気と決断力が決定的に不足している結果にしか見えない。同党の過去にロールモデルがないことは確かだろうが、だからこそ、指導者層の勇気ある決断が求められる。同党は「民主集中制」をゆるやかに廃止する方向で党の民主化を進めるべきだ。それができなければ滅んでいくしか道はない。自民党の変革と、共産党の変革のどちらが先行して進むか。時代に取り残された組織団体は衰退し、変革できた政党だけが生き残る。
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2024/4/19 8:45
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日本共産党の取材対応
市民に開かれた政党を標ぼうする日本共産党が、実はそうではないことは関わったことのある人ならよく理解できる事柄だ。市民に開かれた政党は、単に目先の選挙に勝利するためのキャッチフレーズにすぎず、実際はどこまでも自分たちの存続や損得しか考えていないように見える。そう思った顕著な出来事が最近もあった。先日、取材で同党の埼玉県委員会に電話した際のことだ。私は県委員長に取材中の事柄について関係する人物であったのでコメントをもらうために電話したのだが、最初に電話を受けた女性は「外出中」としばらくやりとりした際に述べ、さらに2~3日後に電話すると、県委員会の固定電話にかけられないようになっていた。いわゆる着信拒否である。たとえば、オウム真理教や統一教会のような団体の悪事を暴く取材者(ジャーナリスト)に対し、それを疎ましく思う団体側が着信拒否するのは肯定しないまでもその行動は理解できる。なぜなら彼らは民間団体だからだ。だが日本共産党はちがう。政治の一角を占めている。政治とは極めて公共性の高いセクターであり、そのためふつうは一応は話を聞いた上で、答えられないならその旨を相手に伝えるなどするのが常識的な行動だろう。それが話も聞かない段階から、いきなりの着信拒否を行った。この委員長には、政治の何たるかの自覚がそもそも備わっていないのだろう。革命よりも、新築マイホームのローン支払いのほうが大事なタイプと思える。そういえば、昨年も「日本共産党の百年」というタブロイド判の冊子が出た際、提供を求めたところそれを拒んだ植木という名の広報部長が共産党本部にいた。同党の取材対応の態度は、どこまでも市民をバカにしている。ほめそやす者は歓迎だが、異論は排除するという最近よく目にする同党の体質そのものだ。念のために付言するが、私の限られた取材体験の中では、地区委員長クラスの対応は非常に誠実で、まともに感じる。やはり「現場」に接しているからそうならざるを得ないのだろう。彼ら彼女らの献身的な行動ぶりが、都道府県や中央レベルの党機関の官僚的態度によって損なわれている現実を残念に思う。
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2024/4/18 7:37
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「大東亜戦争」論争
自衛隊がX上で発信した「大東亜戦争」の記述が一部マスコミで論争を生んでいる。本日付産経は阿比留瑠比コラムで「堂々と大東亜戦争と呼ぼう」の見出しで異論を発しているが、自衛隊自身はよけいな騒動にしたくないとの趣旨で先のXポストの該当部分を削除している。それでも自衛隊内部ではこの言葉はふつうに使われてきたことを指摘したのは昨日付毎日コラムだ。だが「大東亜戦争」は侵略戦争を美化する用語として、問題視する風潮もある。日本政府も基本的には使わない方針だ。その中にあってあえて「堂々と使え」と主張する産経記者の脳内は、基本的には靖國「遊就館」史観そのままであり、先の戦争を肯定的にとらえ、「日本は悪くなかった」との歴史観で染められている。だが当時の日本の民衆が日本の戦争にこりごりとした感情を抱き、新しい憲法を受け入れ、再出発したことは否定できない事実だ。阿比留記者の主張は、当時の日本人全体に対する冒とくそのものであり、戦争を知らない世代が自分たちの立場で勝手に発している軽々しい言葉にしか映らない。彼らには戦争への反省がない。
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2024/4/17 6:16
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空想の「もしトラ」「ほぼトラ」
トランプ前大統領の刑事裁判の一つで初公判が行われた。本日付の各紙朝刊が詳しく報じている。すでに4件の事件で起訴されているが、今回行われたのは不倫の口止め料(2000万円)を弁護士の立て替えで支払った分が、その支払い処理を自分の選挙戦に不利な材料にならないように内容を偽って帳簿に記載した疑い。要するに不倫の口止め料の支払いやその虚偽記載そのものは大きな問題とは思われないかもしれないが、それが自らの大統領選を念頭にしたものであっただけに、学歴詐称と似たところがある。トランプ氏はこれから2カ月程度、水曜を除く平日のすべて、つまり月火木金は朝から夕方まで1日中、裁判所に拘束されるため、まともに選挙活動ができなくなる。さらに6月くらいに陪審による評決(判決)が出る見込みで、そこで有罪となれば、大統領選に大きな影響が出ることは必至だ。本日付東京(共同配信記事)は、「有罪となった場合、最高で禁錮4年を科せられる可能性がある」と指摘。残り3件の裁判がいつ開始になるか定かでないが、今回の裁判で有罪判決が決まり、さらにもう1件でも裁判が始まる事態となれば、トランプ再選の可能性はほぼ無くなると見られる。
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2024/4/16 5:03
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日本会議こそ日本社会のガン
「女性差別的な制度を見直せば経済成長率は倍増する」と述べたのは世界銀行上級副総裁だ。3月6日付の朝日新聞に掲載されている。法制度上の男女格差が主要先進国で最低ランクの日本は、差別的制度を維持していることで経済成長においても大きな損失を被っている実態を指摘したものだ。現在のNHKの朝ドラを見るまでもなく、戦前の女性には参政権すら存在しなかった。それを可能としたのは国家としての自助努力の結果でもなく、戦争に敗北したことによる「外圧」の結果にすぎなかった。もしも自助努力による成果であったら、その後も順調に改革は進んだだろう。だが日本国内の内的変革はさほど進まず、近年も明治志向の安倍政権が長くつづいたため、事態は一層悪化している。明治期を過度に理想化する安倍政治、さらにその根源にあった靖國思想、具体的にいえば日本会議的な発想が、この国の発展を大きく阻害していることは明らかだ。現代日本のガン的存在といっても何ら言い過ぎではないと思う。
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2024/4/15 4:54
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増え続ける世界の軍事費
21世紀が平和の世紀になると信じていた人にはやはりまじめに認識すべきことだろう。イギリスのシンクタンク国際戦略研究所の報告書「ミリタリー・バランス」によると、世界の防衛費は年々増え続け、現在は2兆2000億ドル(328兆円)に及んでいる。2月半ばに共同通信が配信した記事では、ここ10年ほど上昇傾向は変わらず、8年間で7000億ドル(104兆円)ほど増えているので、日本の国家予算程度には世界の軍事費は増えた計算になる。日本政府はこのほど戦闘機の国際共同開発品の輸出に門を開くが、上記の傾向を助長することはあれ、歯止めをかけることにはならないだろう。そうした全体的な世界の趨勢変化を視野に入れた上での政策実現を可能とする政治家は、日本にいったい何人いるのだろうか。
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2024/4/14 6:31
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壮年と婦人
一般的に男性脳は論理的であり、女性脳は感情的な傾向をもつ。ごく大雑把な括り方として、このような趣旨の表現がある。もちろん個人的レベルでの例外は多々みられるが、概括的な捉え方としては私も納得できるものだ。なぜこんなことを書き出したかといえば、「風見鶏」という本日付日経コラムで、次期戦闘機輸出を「容認」する党派別における割合が、自民党62%、公明党56%と「大差はなかった」と書かれていたからだ。もちろんこの公明党の数字は「きちんと歯止めをかけた」とする党側の主張を踏まえた上での支持者の数字であろう。私の知る限り、この問題で懸念をもつ多くは壮年と見られる。理由は冒頭の脳の特性の違いから生まれる影響が大きいと考えている。公明党支持者である婦人層は基本的には同党を信頼しており、党がそういうのだから間違いないだろうと一般的に考えるのが通例だ(もちろん例外は存在する)。一方、壮年は論理的に物事を考える傾向が強いので、少しでも拡大を容認すればそのままずるずるとなし崩しにされることに変わりはないと考える人が一定程度いる。どちらが正しいとは一概にいえないかもしれない。政治はすべて最終的には結果オーライの世界だ。だが「多様性は力」という観点からいえば、両方が必要ということはいえる。そうした性差の違いが社会の活力として生かされていない最たる場所は日本の国会だ。国会議員における女性議員の比率はわずか10%台。この点では、日本は明らかに「後進国」にとどまる。
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2024/4/13 8:49
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公明党の試練が始まる
本日付産経が国会の今後の最大争点となる政治資金規正法改正案に関する記事を掲載しているが、自民党の改革姿勢はなきに等しい感がある。来週前半にも自公協議を行い、大型連休前に「与党案」を示すことが濃厚と報じているが、焦点はやる気のない自民に対し、公明党の事情は逆であることだ。もし自民党の尻を叩き、国民や有権者が納得する改革案を提示・成就させることができなければ、公明党は自民党の体たらくぶりの影響をそのまま受けることになり、総選挙で大きなマイナスとなることは明らかだ。そのため公明党がここまでやったからこうなったとの結果を示すことができるのか、また自民党がそれに応じるのかという“血みどろの戦い”が始まりそうな情勢だ。 通常国会後半戦は、公明党の「真価」を問われる日々となる。
自民、政治資金規制法の改正案提示を見送り 会合は出席低調…消極姿勢浮き彫りに – 産経ニュース
(sankei.com)
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2024/4/12 8:48
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老舗政党が崩壊するとき
自民党の体たらくを最も有利な政治環境に“転化”できるはずの日本共産党がぱっとしない。外部に果敢に打って出るべきタイミングでありながら、昨年はじめの除名問題や党大会でのパワハラ発言などの党内問題で失策を重ねているからだ。外部の者が客観的にみれば「内紛」だが、これはこの党の100年以上におよぶ組織体質にからむ問題だけに、簡単ではない。同党では地方議員の離党が相次いでいる。大きく報道されることはないが、先日も青森市議や埼玉和光市議のニュースが断続的に流れた。しんぶん赤旗の購読者の激減も大きな課題だ。政党助成金をもらわず、他党にそのまま「献上」している形の同党は、機関紙収入やカンパなどが主な収入源であり、いずれも党員減少と機関紙購読の減少で頭打ちの状態だ。さらに高齢化の問題がある。現在の活動家の多くが70代・80代に固まっており、毎年、亡くなっていく。つまり目減りする。一方で、若者といえば2世が多い。これはと思う30代40代の2世活動家は、すぐに地元の議員候補となる(そうならざるをえない)。そのため適性診断や能力に目をつぶる形で議員になると、結局、問題を起こしてその地域の党勢を大きく衰退させる結果となる。さらに現在はその候補者を確保することすら困難という「次のフェーズ」に入っている。加えて、機関紙を配る人、集金する人も高齢化により減る一方だ。私は25年以上の赤旗購読者だが、最近は集金が途絶えがちで、3月分の集金はおろか、2月分の集金さえ来ていないと家の者がぼやいている。同党は「総末期現象」に見舞われているような気がしてならない。
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2024/4/11 9:55
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カンボジアPKOの思い出
本日付各紙訃報欄に小さく、元統幕長の死去が掲載されていた。西元徹也氏、87歳。日本が自衛隊部隊を初めて海外派遣したカンボジアPKOのころ、陸上自衛隊の最高責任者を務めた人物だ。私ども日本政府派遣の選挙監視団は選挙が行われる93年5月に現地で仕事をしたが、当時、ポル・ポト派の選挙妨害で不測の事態が予想されており(現実に日本人の国連ボランティアと日本政府派遣の文民警察官がそれぞれ同じ年に銃殺されていた)、現地派遣の陸上自衛隊でレンジャーチームを結成し、パトロール(巡回)と称する警戒活動を行ってくれた。その行動が法律の規定から逸脱するものとして、当時のマスコミから東京でぎゃんぎゃんに叩かれる矢面となったのが西元陸幕長だった。5年後の98年、次のカンボジア総選挙で西元氏は政府派遣の選挙監視員に志願し、再び現地の土を踏んでいる。私はそのときの選挙をフリーランス記者として取材していたが、あるレストランで通訳とともに食事をしていた元統幕長と一緒になり、名刺交換した、名刺には「東芝」の文字があった。西元氏は安倍政権における集団的自衛権行使の検討部会の一員でもあった。現在の自衛隊幹部OBが戦前の軍人さながら居丈高に「軍事費増強」や「憲法改正」を叫ぶ姿と対照的に、慎み深い印象の人物だった。
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